教育福島0073号(1982年(S57)08月)-009page
習指導が展開されているか。
・ 教育課程はもとより、教育活動の全面で、豊かな人間性の育成のための指導が行われているか。
・ 自ら考え、正しく判断できる児童生徒の育成は着実に図られているか、更に、これらの眉標的な観点に迫るための具体的な視点を項目的にあげてみると、
・ 教育目標の設定とその具現策
・ 日課表の工夫
・ 指導内容の選択と組織
・ 授業時数の運用
・ 創意を生かした教育活動の時間の運営
・ 学習指導の改善
・ 基礎的・基本的内容の徹底
・ 学習意欲と主体性の育成
・ 小学校低学年における合科的な指導
・ 個性・能力に応じた指導
・ 個に応ずる学習指導の展開
・ 選択教科の運営
・ 進路指導の充実
・ 学習指導評価の工夫
・ 指導と評価の一体化
・ 学習の遅れがちな児童生徒、心身に障害のある児童生徒への配慮、などであろう。
これらの内容の吟味にあっては、関係法令・学習指導要領の示すところに従うとともに、地域や学校の実態及び児童生徒の心身の発達段階や特性を十分考慮し、学校の主体性を確立するよう一層の努力が望まれる。
(二) 生徒指導の充実と非行事故の防止
近年、児童生徒の非行は、年々増加し続け、低年齢化・集団化・粗暴化の傾向をたどっている。
こうした当面の問題の解決と共に、本来的な生徒指導を一層充実する必要がある。
「すべての児童生徒を対象とする自己実現への援助指導」を、非行防止の今日的課題克服の点からも、また豊かな人間性をもつ児童生徒の育成からも
・ 職員の共通理解と同一歩調の指導
・ 保護者・地域の信頼と協力
・ 校内における望ましい人間関係などを基盤として、より強力に継続的に、計画的に進める必要がある。
(三) 教職員の指導カの向上
豊かな人間性の育成や個性、能力に応ずる指導など、児童生徒の全人的な教育をめざす新教育課程の実施に対応する指導力の研修が必要である。
・ 児童生徒の人間像を全体として把握し、その全人的な指導のあり方
・ 指導内容、方法についての創意工夫など、従来の教育原理、教育心理、教科教育法等を土台にしながらも、「多様な児童生徒の実態に即応しながら、最も望ましい教育課程を編成」、実施し評価し、指導計画を改善する専門性‘を身につけることが、学校経営への積極的な寄与、あるいは充実した指導活動の展開のために求められているといえよう。
一 教育目標の具現
学校の教育目標は、学校がその全活動をあげて達成すべきねらいであり、学校の教育活動のすべてが、この目標を目指して実践展開される。
したがって、学校の教育目標は、教育活動のかなめであり、教育実践の指標であると言うことができる。
しかし、この教育目標自体は、一般に抽象的な表現であり、達成されたかどうかをみるにも具体性を欠くこととなる。
すなわち、学校の教育目標を単なるスローガンに終らせないで、児童生徒の全人格の形成に直接かかわるものにするためには、それぞれの学校で目標の具体化と、具現の道すじを明確にして、全職員が一致して実践することが要求される。
(一) 具現の道すじ
学校の教育目標の具現を図る道すじは「学校教育目標↓指導実践の目標↓児童生徒の行動目標」が原則となる。
すなわち、学校の教育目標は、終局的には、その学校の児童生徒一人一人が自分自身の行動目標としてとらえ、具体的に実践した時、初めて具現されたと言い得るのである。
そのために、指導実践の目標を慎重に検討してみる必要がある。
この指導実践の目標は、学年・学級月標への具体化と、各教科・道徳・特別活動の目標への具体化の二つに分けることができる。
1 学年一学級目標への具体化
学年目標は、学年の発達段階や教育課題に即して、学校の教育目標を具体化し、その到達すべき指標を明らかにしたものである。
学年を担当する教師が、共通の構えをもって、学年としての水準を維持しながら、学年経営の推進に努めるには明確な学年目標が必要である。
また、学年目標は、学級担任が学級を経営するに当たって、学級目標設定を方向づける役割をもつものである。
学年目標の設定に当たっては、一学校の教育目標をふまえ、その内容を的確にとらえて学年目標への具体化を図っていかなければならない。
その際、次の点に留意したい。
ア 児童生徒の発達段階や実態を明確に把握する。
イ 児童生徒の発達段階や実態からみて、どのような生活場面で達成できるかを明確にする。
ウ その目標が、学年の段階からみて、どの程度達成できるかを検討する。
エ その目標のうち、学年の児童生徒の実態からみて、どこに重点を置かなければならないかを明確にする。
学級の目標は、その学級が目指す学