教育福島0073号(1982年(S57)08月)-010page
級それ自体の目標であるが、それは、学校の教育目標のわくを越えるものではない。
学級の目標が、その学級の実態や学級担任の教育観などによって、多少のちがいはあるにしても、学校の教育目標につながっていなければならないのは当然である。
学級目標の設定に当たっては、次の点に留意したい。
ア 学級の児童生徒の実態や課題を明確に把握する。
イ 児童生徒にわかりやすく、常に意識しやすいように工夫する。
ウ 学級集団の目標であるとともに児童生徒一人一人の目標となりうるものにする。
工 評価しやすいものにする。
オ 学年の発達段階に応じて、児童生徒に参加させるようにする。
小学校中学年、高学年及び中学校では、留意点のオは、非常に重要である
学級目標が、児童生徒一人一人の行動目標になるためには、教師からの一方的な押しつけであってはならないからである。
自分自身の行動目標として意識し、それに向かって実践するためには、その目標設定に自ら参加していなければならない。
すなわち、学級目標設定の段階で、学校教育目標と学年目標を踏まえた担任教師の願いと、児童生徒の願い・希望と言ったものをぶっつけ合い、ねりあげることを通して、その学級自体の目標が設定されることが望ましい。
また、学級担任は、一人一人の児童生徒が自分の目標を達成するために、毎日の学校生活の中で、具体的にどう実践していけばいいのか、その方法を理解させるとともに、経過の評価ができるように細かい配慮をすることが大切である。
2 各教科・道徳・特別活動の目標への具体化
学習指導要領で示す各教科・道徳・特別活動の目標達成に努めることは、終局的にはそれぞれの学校の教育目標の具現に参加することになるのは間違いない。
しかし、ただ漠然と教科等の指導を行うのでは、評価しうる教育目標の具現は期待できない。
自校の教育目標との関連を明確にして、意図的・計画的に指導を展開することによって、具現が推進されることになる。
そのために、次の点に留意したい。
ア 各教科・道徳・特別活動の目標と学校教育目標(学年目標)とのかかわり、接点を明確にすることすなわち、教育目標のどこに、どのようにかかわるのかを明確にすることを検討する。
イ 教育目標(学年目標)を各教科(道徳・特別活動)の単元・題材活動の中にどのように焦点づけるかを検討すること。
ウ 焦点づけた目標を生かす授業、活動を創意工夫すること。
すなわち、実際の授業をどう展開すべきかと言う指導方法を追求することである。
このことによって教師一人一人に、学校教育目標達成のための教科・道徳特別活動の指導であることが明確に意識され、生きた学校教育目標として、実践されることが期待されることになる。
(二) 具現のための組織
教育目標具現のために、現在ある校内の組織を検討してみる必要がある。
校内には、教務部、各教科部、生活指導部、学年会、研究、研修会、各種委員会等の組織がある。
これらの組織が、目標具現にどのように働いてくれたらよいかを検討してみることが大切である。
その際、次の点に留意したい。
ア 現状の組織が、授業にどのように関連し、授業を支え推進する働きをしているかを検討する。
例えば、教務部や教科指導部は最も授業に関連する組織であるがこれが、教育目標の具現と言う観点から授業研究を組織したり、各教師に実質的な助言や示唆を与えるようになっているかどうかを検討することである。
イ 学年間の連携や学年内の共通理解を図ると言う面で、有効に機能しているかどうか。
以上のように、現在ある校内組織を教育目標の具現のために有効に機能するよら検討するとともに、必要があれば、新しい組織、例えば、「目標管理委員会」などを設置することも考慮する必要があろう。
そして、「目標管理委員会」で、常に全体的立場からの指導助言を行う体制を整えるとともに、一定の時期を区切って、校内研究会等を実施して、教職員全員が、当面している問題を出し合い、検討していくフィードバック的機構を整えることである。
(三) 教育目標具現のための学年・学級経営
教育目標の具現には、学年・学級目標への具体化と教科等目標への具体化の二面からの追求が必要である。
換言すれば、教育目標の具現は、学年・学級目標への具体化を縦軸に、教科等目標への具体化を横軸にする立体的な形でとらえなければならないことを意味する。
そして、この二つの軸を総合し、有効に機能させる働きをするのが、学年・学級経営である。
このため、中学校では、学年内の学級担任と教科担任の共通理解と連携を図る学年経営の充実と、小学校では、閉鎖的な学級経営かつ、開かれた学級経営への実践が大切になってくる。
学年・学級経営上、次の点に留意し