教育福島0073号(1982年(S57)08月)-012page
慮されていること。
3) 出張や休暇などにより担任が欠ける場合の補欠授業の対策が立てられていること。
4) 中学校における教科担任と関係学年内の授業実施時数の調整を図る対策が立てられていないこと。
5) 道徳の時間、クラブ活動、学級指導の時間設定と授業時数確保に配慮されていること。
(三) 日課表の吟味
日課表は、各学校が編成した教育課程を具体的に実施していく際の学校の一日の時程表である。したがって、日課表は、その学校の教育課程実施の大切な基盤であり、各教科、道徳及び特別活動等の指導の効果を最大限にあげることができるよう作成する必要がある。
そのためには、次のような点に留意して創意工夫する必要がある。
1) 学校の教育目標の具現と各教科等のねらいの達成を図る。
日課表は、学校教育目標、とりわけその年度の重点目標を達成させるために諸活動が適切に位置づけられているかどうかを十分検討することが必要である。
2) ゆとりのあるしかも充実した学校生活の実現を図る。
児童生徒が、心身ともに安定した状況の下で、ゆとりをもって学習し充実感を味わうことができ、無理のない充実した学校生活を営めるようにすることが大切である。そのためには、適切な授業時間の設定と、特に学習と諸活動、休憩の時間が適切に調和がとれるように組み合わされていることが大切である
3) 一週間を単位として変化とリズムを工夫し、学校生活の充実を図る。
始業時刻をはじめ、授業時間、休憩時間、給食の時間、あるいは放課後の時間などを、一日のスケジュールにどう組むかだけでなく、週の中でどう位置づけるかが大切である。また、学校が創意を生かして行う教育活動の時間を合わせて考え、これを週の計画の中にどう位置づけるか、月、学期、年間にどう位置づけるかを十分考慮することが必要である。
4) 地域や学校の諸条件を考慮する。
例えば、地理的条件や季節的条件あるいは、学校の創意を生かした教育活動の時間などの諸活動の取り上げ方によって、各校のもつ条件は異なってくるわけで、地域や学校、児童生徒の実態を十分考慮して作成することが大切である。
(四) 「創意を生かした教育活動の時間」の運営
この活動については、各学校の特色ある教育活動として、各学校の教育目標を具現するという観点から活動内容を選択し活発に展開できるようにしなければならない。
その際、学校、教師が意図的、計画的に活動内容を取り上げて実施する活動と、児童生徒の自発性、自主性を助長して自己実現の喜びを体験させる観点から、活動内容を児童生徒に選択させる活動とが考えられる。更に、全児童生徒や学年の全児童生徒を対象とした活動と、学級やある特定の児童生徒を対象とした活動が考えられよう。
いずれにしても、この活動は、特定の領域を設けるということではなく、また、活動内容を多く取り入れることによって、かえって児童生徒の負担が過重にならないように配慮することも大切である。
また、この「創意を生かした教育活動の時間」の実施に当たっては、次のような点から運営の基本的な方針を決定するとともに、活動のねらいや内容を明確におさえて実施することが大切である。
1) 学校の教育目標を達成するために教育課程の内容を補充、深化したり補強したり、発展的な内容として行う活動である。
2) 地域や学校の実態に応じ、特色を生かして実施する活動である。
3) 年間を通じて特定の活動を継続的に実施したり、幾つかの活動を組み合わせて実施する活動である。
4) 学校の実情によって内容や時数が決められるものであって、すべての学校が一律に実施するというものではない。
5) 全児童生徒を対象として実施する活動である。
6) 学校管理下の教育活動である。
7) 各学校が創意と工夫によって、独自の計画を立てて実施する教育活動である。
(五) 小学校低学年における合科的な指導
1 合科的な指導の意味とねらい
合科的な指導とは、新学習指導要領に基づくものであって、各教科の目標を一層効果的に達成するために、幾つかの教科の関連する指導内容を有機的に組み合わせて、児童の発達の特性に応じて計画的に指導するということを意味ている。
合科的な指導は、一各教科の目標を効果的に達成することが主たるねらいである。その際、次のような合科的な指導がもっている特徴を生かして実践することが大切である。
1) 教科の粋を越えた学習を通して児童の豊かな発想や多面的なものの見方、考え方が育てやすい。
2) 児童の体験的な学習活動が中心となるから、児童の学習意欲が喚起され、主体的な学習態度の形成も行いやすい。
3) 合科的な指導における児童の生活に即した身近な問題への取り組みを通して、児童の実際的な問題解決能力を高めることができる。