教育福島0073号(1982年(S57)08月)-015page

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で終始していないか。

・児童生徒が、教師の手を離れても、ある程度自分たちで学習が進められるようになっているか。

・授業の中で、児童生徒が喜びの表情を見せているか。

2 学習意欲を高める工夫

児童生徒が主体的に取り組む授業を成立させるためには何といっても学習への意欲を喚起しなければならない。

ここでは、意欲とかかわりのあるような要因の中から、特に、次の二点について強調しておきたい。

・学習の目的意識の高揚

学習(勉強という広い意味で)を何のためにするのかというレベルから、当面するこの学習のねらいは何かというレベルまで、とにかく児童生徒が“学習することの意味”をしつかりととらえているかどうかという問題をおろそかにはできない。

低学年においては、具体的で短期的なものになろうが、小学校高学年から中学校にかけては、もっと、生きることの根源ともかかわったところで、学習の目的をしっかりとしたものにさせなければならない。

・学習目標、学習課題の個別化

児童生徒にとって、いかに切実な目標や学習課題が設定されるかどうかということは、学習の意欲と大きくかかわるものである。

一斉指導という形の中では、ややもすると、目標や課題が学級集団の共有のものとしてまとめられてしまいがちであるが、その裏にある個々の児童生徒の目標や、課題を明確にし、大切にする姿勢を教師は失ってはならない。むしろ積極的に個別化を図る努力をしたいものである。

3 児童生徒の選択の幅のある授業

児童生徒の主体性を高めるためには学習課題の設定はもちろん、方法、授業の展開(過程)、形態などについて、ある程度、児童生徒の考えにゆだねる幅を持たせなければならない。

例えば、中学校の文学作品の読みの授業で「登場人物の心情を読み取る」学習をする時

・心情曲線を描いてみる。

・その時々の人物の気持ちを、自分の言葉でくわしく表現してみる。

・人物の気持ちをふまえて朗読する。

・人物の動作、表情などを再現する。などの手法は、どれを選んでも「心情を読み取る」目標へ向かう道にかわりはない。それぞれの生徒が思い思いの手法を選択し読み迫り、学級集団としてねり上げていくような展開も試みたいものである。

4 「学習のしかた」の学習

主体的な学習が成立するためには、児童生徒が「学習のしかた」を身につけていなければならない。ともすれば教師が強引に教え込むといった「学習訓練」のように、子どもが受け身の形でなく、学習のしかたを学んでいく……という姿を望みたいものである。 !

・学習の手順

「学習のしかた」には、まず、どんな順序で学習すればよいかという学習の手順にかかわるものがある。

これは、授業の過程とおおよそ合致するものであり、場合によってはプリソトなどによって、一般的・基本的なものをまとめておくのも一方法であろう。

・学習の手だて

普通「学習のしかた」といった時前項の“順序・手順”にかかわる部分だけに留まってしまうことが多い

しかし、本来は“手順”の中の一つ一つの学習活動のしかたこそが問題なのである。

例えば、

・二つのものを比べる時には、比べたい部分以外の条件は同じくしておかなければならない。

・物語をいくつかの場面に分けるには

ア 登場人物が変わった時

イ  〃時”が変わった時

ウ 場所が変わった時

工 できごとの流れが変わった時などに着目すればよい、などがわかることである。これらが、“学習のしかた”のうちの“手だて”にかかわるものであるといえよう。

教師は、日々の授業の中で、こうした学習の手順、手だての両面にわたって、学習のしかたを身につけさせるため、きめ細かな配慮をしていかなければならない。

5 学習集団としての学級づくり

主体的な学習を展開しようとする時見逃しにできないのが、学級の雰囲気や人間関係であろう。

しかし、ここで考えなければならないのは、授業における学級集団は、単なる仲よしグループに留まってしまってはいけないということである。

もちろん、何でも自由に言い合える明るい人間関係が基盤になることにちがいはないが、学習する集団には“きびしさ”が要求される。

誤りを誤りとしてきびしく指摘し合い、ある時は激しく論じ合う、しかしそれを離れれば、また、仲よく遊べる真剣に学び合いしかも助け合うというきびしさとやさしさが共存する集団としての学級づくりを心がけたいものである。

 

(四) 評価が生きる授業の展開

 

ひところのように、成績評定のための評価だけを“評価”と考える教師はまず、いないであろう。

ここ数年来、評価に対する研究の深まりには、めざましいものがある。形成的評価、到達度評価、総括評価等々新しい評価理念に支えられた多様な評価方法が行われるようになった。

しかし、実際には、まだまだ多くの問題が抱えている。・

1 評価方法の明示と評定尺度の設定

授業案の中に「……できたか」とい

 

 

 


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