教育福島0073号(1982年(S57)08月)-016page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

う形で評価の観点が示されることが多くなっているが、どのような手法で評価するのかが明示されていることは意外に少ない。

ノートによる、チェックリストによる、感想による……など、明確にされなければならない。

また、どの程度の高まりを見せたときに「できた」と評定するのか、その尺度をあらかじめ設定しなければならない。

さらに、評価を教師だけのものとしないで、児童生徒自身が評価する、いわゆる自己評価も取り入れるようにしたい。

2 評価結果の活用

いろいろ工夫して行った評価結果が子どもの指導や授業の改善に生かされなくては、これもまた、評価のための評価に終わってしまうことになる。

・どこでどうフィードバックさせるか

・個別指導の手をどう加えるか。

・教師の反省点は何か。などの視点から分析し考察して、授業展開そのものに具体的に生かす努力をしなければならない。

 

四 道徳教育の充実

 

(一) 学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育

各学校で作成した道徳教育全体計画を生きて働くものとするためには、各教科、道徳、特別活動をはじめ、学校の教育活動全般にわたって、その特質を明確にした上で、道徳教育の機能を見直すことが大切である。

1 教科、特別活動との関連

学校の中で児童生徒がその大半の時間を費やす教科学習や具体的な実践活動を通す特別活動の中で、道徳教育の役割がどのように果たされているのかあるいは、役割を果たせるような授業をどのように創造していくかを検討し実践することが重要である。

ただ単に、その教科を教えることに終始していないか、学校行事や、児童(生徒)活動を通して育てるものが見失われていないか、教科指導の目標や、一つ一つの教材内容に即し、あるいは児童生徒の活動目標や活動内容に即して、人間教育の基本を再確認する必要がある。

2 道徳的実践の指導

道徳的実践は、人間がよりょく生きようとする努力の結果として具体的な生活の中で実現されるものである。教師も児童生徒とともに、道徳的価値がその人柄にまで結びつき、それぞれの人格にまで高められていくように、あらゆる場と時間において道徳的な判断力を高め、道徳的心情を豊かにし、実践意欲を高めていく配慮をしなければならない。

3 努力事項

学校における道徳教育の推進を考えると、教師は人間尊重の精神を基本として一人一人の児童生徒を大切に育てるという姿勢と着実な実践活動が望まれる。

ア、担任として学級をまとまりのある人間味あふれる集団に育てる。

イ、教師として、自分の生徒理解のあり方に疑問を持ち続ける。

ウ、他の教師の見方、考え方を聞き生徒理解の幅を広げる。

エ、児童生徒と共に生活する時間を多くとり、人間的な触れ合いの機会を多く持つ。

 

(二) 自校の年間指導計画に基づく「道徳の時間」の指導

 

実践をふまえて使いやすい(活用できる)年間指導計画が整備されていなければならない。日々の授業がそのまま指導計画改善の土台となるよう次の点を再確認する必要がある。

ア、学校、学級の児童生徒の道徳性の実態把握は的確であるか。

イ、学校として、指導記録が残されており、学年、学校に共通する問題点が明確になっているか。

ウ、指導に用いた資料には、提示の時期、方法、基本発問、効果等を添え書きして保存されているか。

エ、学期ごとに適切な時期をとらえ前記内容について検討会を設け、改善策を記録しているか。

あやまった「学級化」の解釈で恣意に年間指導計画を変更することなく、全体計画との関連で、着実な授業実践が望まれる。貧 道徳的実践カを培う指導の充実

1 明確なねらいの設定

道徳の時間で身につけさせる道徳的実践力は「将来出合うであろう様々な場面、状況においても、価値を実現するため、最も適切な行為を選択し、実践することが可能となる内面的資質」を意味している。道徳的価値にかかわる計画的指導の場である道徳の時間にあっては、学級の実態に即して目標を分析し、指導する教師自身のものとして具体的におさえて授業に臨むことが大切である。価値を教えこんだり、資料を教えたりする授業ではなく、子ども自身が主体的な行為として発現できるような資質を育てることが重要なのである。教師も子どもも欠点は多く持っている。それでも、よりよい人間の生き方を求め、自分とは何かをともに追い求めていく時間にしたいものである。「やってよかった」「深く考えることができた」「少しでも努力してみよう」という考えが授業を通して一人一人の児童生徒に体得できるように教師がまず努力することが肝要である

2 資料活用の工夫

道徳の時間の資料には、多種多様なものがある。「資料があるから利用する」とか「資料がないから授業ができない」という考え方では、資料を教えることに陥りやすい。

ア、放送番組利用上の留意点

・無計画な視聴では、ねらいの達成が

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。