教育福島0073号(1982年(S57)08月)-017page

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できない。事前に教師が視聴し、指導計画とのつき合せを綿密に行って採否を決めること。

・VTR利用の場合は指導過程のどの段階で視聴させることが目標達成に効果的であるかの検討をする。

・年間指導計画の中に使用(視聴させる)資料として当初から位置づけておくことが望ましい。

イ、読み物(副読本等)利用上の留意点

副読本を学校で採択して利用している学校が多い、副読本は数多くの長所があるが、安易な使用をすると、道徳の時間の指導がおしつけになったり、画一的な指導に陥る危険性があることに十分注意する必要がある。

・ねらいに迫るために、取り上げた読み物を十分読みこなすと同時に、価値に気づかせるための発問を準備する。

・読み物の特質(長所)を十分に生かした使い方をする。

・指導過程を構想するとともに、予想される児童生徒の反応(マイナス面も含めて)を考え対策を立てる。

・国語的な読解指導にならないように注意する。そのためには、

・国語科の教材よりは、一学年程度下げた読み物を使う。

・語句解説、社会的背景は補説する

・絵や掛図、統計資料を併用し、教育機器による提示など工夫する。

・事前に与えて読ませるとか、教師が読んで聞かせるなど配慮する。

・読み物の世界と現実の生活との結びつきを工夫する。

・長文の扱いに工夫する。

・原作の持ち味をそこなわない程度に圧縮するとか前後の省略をする

・途中で切り、説話資料とする

・教師の意図する部分のみを読み(読ませ)他の方法(録音、スライド)と組み合わせて利用する。

・ねらいによって扱い方、読ませ方をかえる。(いつも同じ与え方、読ませ方、発問等でないようにする)

・読ませたあとの扱い方で、あまりにも分析的な指導をしない。

3 効果的な発問の工夫

道徳の時間における指導方法として話し合いが多くみられるが、皮相的なたてまえ論でなく、本音が語り合える展開を工夫することが大切である。

そのためには、日常の全教育活動を通して、学級における話し合いが、思いやりのある暖かい雰囲気で行われるように努めること、児童生徒一人一人のものの考え方、感じ方の実態を把握しておくことが必要である。

ア 指導過程に応じた基本的な発問を工夫する。

・導入の段階

・主題に対する興味、関心を高める発問

・学習(指導)内容がそれぞれの児童生徒にとって切実な課題意識を持つように問題の所在に気づかせる発問

・ねらいとする道徳的価値へ直接導くような発問

・展開の段階

・資料にかかわる発問。主人公などの道徳的行為や考え方、感じ方を十分に追求し理解させねらいとする道徳的価値を把握させる発問

・資料を通して把握した価値を、自分の生活に当てはめ、自分自身の現在及び将来の生活において、どう実現させるかを追求、把握させる発問(ねらいによって異なる)

・終末の段階

・指導の効果を判定する材料を得たり、今後の発展につなぐための発問。道徳的に望ましいあるべき姿ばかり追い求め、その実践をせまるような発問はさける。

イ 児童生徒の反応を予想し、児童生徒の意識の流れに沿った一貫性のある発問を構造的に準備する。

ウ 児童生徒の発達段階、生活経験を考慮して十分思考させるもので規範意識だけでは答えられないようなものにする。

 

五 特別活動の充実

 

特別活動には児童生徒活動、学校行事、学級指導の三つの内容があるが、これらの活動の共通の特質は、「集団活動」と「自主的・実践活動」であるといえる。

各教科や道徳なども学級を単位にしたり、多様な集団をつくって学習を進めるが、その集団を構成することは、それぞれの学習を助けるもので、手段や方法上のものであるといえる。

しかし、特別活動におけるさまざまな集団は、集団をつくることそのものが活動のひとつであるという点において、基本的に他の教育活動とは性格を異にしている。

共通するもう一つの特質としては、児童生徒が集団の活動を通して”なすことによって学ぶ”という「自主的・実践活動」がある。

直接の経験による活動を通して理解を深める学習は、各教科や道徳においても当然なされるが、特別活動においては、そのほとんどが実践に結びついた活動であるといえる。

このように、特別活動の三つの内容は共通した特質を持つと同時に、それぞれの内容が独自の特質を持っていることも明確にとらえて指導に当たることが重要である。

 

◆ 具体的な指導のあり方

 

特別活動の内容は極めて多様である学校の教育活動の中で最も多種多様の内容をもつものといってよいであろう

そこで、それぞれの内容の特質を十分に把握した上で、内容相互の関連を図りながら創意に富んだ指導を進める必要がある。

以下、具体的な指導のあり方についていくつかの例を示したい。

 

 

 


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