教育福島0073号(1982年(S57)08月)-018page
(一) 学級会活動における議題選定のあり方
学級会に提案ざれる議題は、日常の生活からでてくる切実な問題であって学級生活をより豊かにし、児童生徒の自発的・自治的な活動を助長するようなものでなければならない。そのためには、教師自身が望ましい議題の条件を十分に理解し、児童生徒がそのような議題を自ら選定できるよう指導していくことが望ましい。
1 適切な議題の条件
1) 学級生活に直接結びつく問題であること。
2) 学級全員に共通の問題であること
3) 児童生徒の自治的活動の範囲内と認められる問題であること。
4) 児童生徒自らの手で具体的に解決の方策が見いだせる問題であること
以上の四条件は、常に満たされなければならないものであり、一つの条件でも欠くならば、適切な議題であるとはいえない。
2 議題選定に関する留意点
1) 議題選定の際の指導助言
議題は教師が選んで与えるものではなく、児童生徒がみんなで決定するものである。ただし、適切な議題の条件にかなうものを選ぶよう、指導助言を適宜行う必要がある。
2) 残された議題の処理
児童生徒から提案されても、議題として取りあげられなかったものについては、その後の議題提案の意欲にもつながることなので、処理を明確にしておくことが大切である。
ア) 係の活動に回す方がよいものは、係へ連絡し解決する。
イ) 短時間で解決できるものは、朝や帰りの時間を使って解決する。
ウ) 個人的なものは、児童生徒相互に又は個人と教師との間で解決する。
エ) 学級独自で解決できないものは代表委員会へ提案して解決する。
(二) 学校行事に積極的、自主的に参加させるための他内容との関連
学校行事を望ましい集団活動とするためには、学級指導による事前指導や児童生徒活動との関連を十分に図ることが必要である。
1 学校行事と児童生徒活動との関連
1) 学校行事の実施に当たっては、その活動の一部を児童生徒にゆだねる場面の多いことを考慮に入れて、教師の計画する範囲、児童生徒活動に任せる範囲を事前に十分検討しておくことが必要である。
2) 学校行事の中には、儀式的行事などのようにそのほとんどを教師が計画するものがある。
その場合は、無理に児童生徒活動に直結させる必要はないが、あらかじめ学級の時間などでその意義を十分に徹底させ自主的な参加の心構えを持たせるよう指導することが大切である。
3) 児童生徒活動が学校行事の中で生かされる条件
ア 児童生徒活動の組織が生かされること。
イ 児童生徒に任すことのできる活動の範囲がはっきりしていること。
ウ その範囲の中で、児童生徒の創意工夫の余地が残されていること。
このほか、自治的な活動が十分行えるよう場所や時間の設定、設備、備品の活用や消耗品の使用などについても配慮してやることが大切である。
2 学校行事と学級指導との関連
1) 学校行事の事前指導としての学級指導
個々の学校行事に意欲的に参加できるようにするために、その骨子について学級指導で事前指導を行うことは大切である。その内容としては、
ア 行事の意義やねらいを理解させる
イ 具体的な実施方法を理解させる。
ウ 参加態度などについて指導する。
エ 他の領域との関連をはかる。
2) 学校行事の事後指導としての学級指導
個々の学校行事について、児童生徒の期待がどのように達成できたかを評価させることは、次の行事参加への意欲づけをはかるためにも大切なことである。その内容としては
ア ねらいはそれぞれ達成できたか。
イ 計画は適切であったか、改善したいことは何か。
ウ 集団行動の約束ときまりは守れたか。
などの観点から反省評価する。
(三) 学級指導の効果を高めるための指導過程
学級指導は、児童生徒の日常生活に密着した知識・技能・態度・習慣などを即効性をもって育てるところに意義がある。
また、現在生じているか、近い将来生ずることが予想されるところの一定の問題に対応する仕方を指導するところである。
そこで、学級指導の指導過程は問題に対処する仕方が明確にされていなければならないし、かつ、効率的な進め方を工夫しなければならない。
しかし、学級指導の指導過程は一定の型や進め方が決っているわけではない。したがって、実態を考慮し、ねらいに即して創意工夫しなければならないが、一般的には次のような例が多くみられる。
1 基本的な指導過程
1) 導入段階
・ 問題の意識化、共通化
2) 展開段階
・ 前段“問題の理由、原因の追求把握
・ 後段=問題の解決や対処の仕方
3) 終末段階
・ 実践への意欲づけ
2 導入段階を簡略にする指導過程主題によっては、導入段階にことさ