教育福島0073号(1982年(S57)08月)-019page

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ら時間をかけなくてもよい場合があるつまり、児童生徒の興味関心が高く、しかも、毎年実施される学校行事の事前指導のような場合は、導入や展開の前段を簡略にすませ、参加の仕方や意欲づけなど、具体的な指導内容に早く入った方が効果的であるといえる。

3 実際練習を取り入れる指導過程

学習活動を教室に限定しないで、実際の行動や練習を取り入れた方が効果的な主題がある。このような場合、展開の後半や終末において実際の練習などを取り入れる工夫が必要である。

4 指導過程構成上の配慮

1) 指導過程の構成に当たっては、あれもこれもと欲ばらないで、指導のねらいを明確にし、焦点化を図る。

2) 効果的な資料や視聴覚教材などを工夫し、その活用を図るなど、学級指導が単なる話し合いに終始しないように留意する。

3) 終末では、教師の賞讃や励まし、決意の表明、児童生徒の自己評価など、その場に応じた方法により、実践への意欲づけを工夫する。

 

六 生徒指導

 

(一) 生徒指導の意義

 

最近、児童生徒の問題行動が増加するとともに、深刻な様相を見せて来ている。

このため、学校の生徒指導が非行対策にかなりの力を割かざるを得ないのも事実である。 

しかし、生徒指導の意義はこのような消極的な面にのみあるのではなく、「すべての児童生徒を対象とし、一人一人の人格の価値を尊重し、個性・能力の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や行動を高めることをめざして行われる教育の機能である」ことに積極的な意義があるのである。

文部省刊行「生徒指導の手引」では生徒指導の意義を、いろいろな角度からとらえ、次のように示している。

・生徒指導は、個別的かつ発達的な教育を基礎とするものである。

・生徒指導は、一人一人の生徒の人格の価値を尊重し、個性の伸長を図りながら、同時に社会的資質や行動を高めようとするものである。

・生徒指導は、生徒の現在の生活に即しながら、具体的、実際活動として進められるべきである。

・生徒指導は、すべての生徒を対象とするものである。

・生徒指導は統合的活動である。

 

(二) 生徒指導の充実

 

生徒指導の充実のためには、各学校において自校の課題を明確にし、その解決のための具体策を確立し、着実に実践して行くことが大切である。

したがって、生徒指導の充実のための方策は、それぞれ学校の課題によって異ってくるのは当然ではあるが、各学校が共通の課題に当面していることも事実である。

ここでは、年度初めに示した指導の重点のいくつかを取り上げ、更に具体的な実践の方向について述べ、各学校における生徒指導の充実に資したい。

1 共通理解と指導体制の確立

共通理解を深め、全職員が一体となって指導に当たることができるかどうかは、その学校における生徒指導の成否を左右すると言っても過言ではない。共通理解を深めるためには、次の事項に留意することが大切である。

1) 生徒指導の意義やねらい等の基本的事項を再認識する。

生徒指導の基本的事項についての理解がばらばらで、それぞれの経験や指導観による指導に固執していたのでは成果はあがらない。

生徒指導本来のあり方を再確認することが共通理解の基盤である。

2) 共通理解は、日常の実践により深まることを重視する。

当面する生徒指導の課題の中で、すべての教師が一体となって指導すべき事項を焦点化し、一事を徹底するための実践活動を推進することは次のような点で共通理解の基盤となる。

・教師の連帯感が深まり、相互の信頼感が培われる。

・児童生徒の信頼感が深まる。

・生徒指導について自信が高まる。なお実践に当たっては、次の点に留意することが大切である。

・監視、規制の指導よりは、「育て励ます指導」に力点を置くこと

・共働、共遊の励行

・あいさつ運動の推進等

・全教師が足並みを揃えて指導できる(指導すべき)実践事項であること。

・毎日、継続して実践すること

・実践の成果を的確に把握すること。ただし、性急に成果を求めないこと。

3) 組織的活動を推進する。

全職員が一堂に会しての協議会等により共通理解を図ろうとするにはさまざまな困難が伴う。

学校の規模に応じ、「生徒指導委員会」「問題行動対策委員会」等を組織し、学年会との有機的な活動を推進し、共通理解を図ることが大切である。

4) 研修を計画的に実施する。

共通理解を阻む要因の一つに、教師個々の指導観の相違があげられる

その背景には、生徒指導についての理解や指導力の差異が潜在していることがある。

研修により、互いに資質の向上を図ることが大切である。

2 生徒理解の充実

1) 生徒理解の必要性

生徒指導は、一人一人の児童生徒の個性に即し、かつ具体的に進められなければならない。そのためには一人一人の児童生徒の特徴や傾向を

 

 

 


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