教育福島0073号(1982年(S57)08月)-020page

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十分に知り、把握するための生徒理解がどうしても必要になる。

児童生徒をよく理解することによって、個々の児童生徒のどこを生かし、どこを伸長させるべきか、どこに問題があるのかについて明確になり、また、どのような機会に、どのような方法で指導することが最も効果的かということも明らかにすることができるのである。

2) 資料の整備と、活用を効果的にする。

生徒理解を的確にするためには、諸検査、諸調査を計画的に実施し、科学的、客観的な生徒理解のために活用することが大切である。資料の整備、活用における留意点は、次のとおりである。

・資料の特質と限界を理解して活用する。

・教師の観察記録も、客観的な資料になるよう工夫する。

・学級担任以外の教師も活用できるようにするとともに、家庭や個人のプライベートを侵すことのないよう留意する。

・観察記録は、児童生徒の望ましい行動も見落とさないで記録する。

3) 組織的な生徒理解をすすめる。

生徒理解が、教師の個人的な活動として行われるだけでは、独断や偏見に陥る危険性がある。

生徒理解を充実するための組織的な活動の例としては、次のような活動があげられる。

・学級担任と教科担任の合同研究協議

・部活動指導教師を含めた拡大学年会

・事例研究会−全体会、学年会、生徒指導部会等

・資料の累積を図る。

学級担任が変わる度毎に資料を廃棄するようなことのないようにする

さらに、小・中学校を通しての累積ができるよう、学校間の連携を深める。

3 非行防止の強化

児童生徒の事故防止は、各学校における生徒指導の重要課題の一つになっている。

しかも、非行の原因、背景は、学校家庭、社会の要因が複雑に錯そうしているので、対応もかなりの困難を伴うが、学校教育でなすべきことは何かを謙虚に受けとめ、非行防止のための指導に努めることが大切である。

1) 本来的な生徒指導を充実する。非行防止は、直接的な対応も大切であるが、最も成果があがり、抜本的対策となるのは、生徒指導の全体計画に基づく地道な実践である。

本来的な生徒指導の充実に努めることが大切である。

2) 問題徴候を的確に把握する。非行とは必ずその「きざし」があるそれを的確に把握し、予防的な指導を適切に行う必要がある。

3) 真の原因、背景を把握する。非行は「病める心」に真因のあることに眼を向け、生徒理解に基づいた指導を充実することが大切である。

4) 協力的な指導をすすめる。非行を起こす児童生徒の指導には、学級担任の指導を中心にしながら、学年や生徒指導部の協力指導がすすめられるような協力体制が必要である。

この際、学級の指導方針を十分理解して指導に当たることが大切である。

学級や学年のセクト主義を排除し協力的な指導ができるかどうかが、非行防止の指導の成否を握るカギである。

5) 地域ぐるみの指導をすすめる。

・小、中学校学校間の連携を深める。

・家庭との連携を深める。

・健全育成諸団体、補導関係機関との連携強化を図る。

4 好ましい人間関係の育成

中学校学習指導要領の総則は、生徒指導の充実について「教師と生徒及び生徒相互の好ましい人間関係を育て、生徒指導の充実を図ること」と述べている。

このことからもわかるように、好ましい人間関係を育てることは、生徒指導充実の重要な要件である。

生徒理解の充実も、非行防止の強化も、その基盤は教師と生徒の好ましい人間関係である。次の事項に留意し、好ましい人間関係を育てることが大切である。

1) 最も重要な「ふれ合い」の場は授業中であることを再認識する。

授業中には、励まし、承認、援助などの場が数多くある。個別指導を重視した指導をすすめることが大切である。

2) 学習指導の充実を図る。教師は学習指導が熱心で、すぐれた力量を持っていることが児童生徒の信頼感を深める重要な要件である。

3) 温かい理解と厳しい指導を適切にする。

共感的、容認的指導だけでは信頼関係は育たない。時には断固たる厳しい指導が必要である。

4) 教師間の信頼関係を確立する。

教師相互が信頼関係に結ばれていることは、児童生徒の信頼感を深め家庭や地域の学校への信頼を高める基盤である。

 

七 保健・安全教育の充実

 

保健、安全教育は、「学習」と「指導」の二つに大別され、「学習」は主として体育科及び保健体育科の「保健分野」で取り扱われ、「指導」は主として学級指導、ホームルーム、学校行事、児童生徒活動等の特別活動や日常の学校生活における指導の中で取り扱われており、それぞれにねらいを異にしていることを明確におさえることが必要である。

それらの性格を更に具体的にみると

 

 

 


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