教育福島0073号(1982年(S57)08月)-021page

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次のようにまとめることができる。

小学校の保健、安全学習は、第一学年から第四学年までは学級指導を中心とした保健、安全指導で、第五学年、第六学年においては、児童にふさわしい系統的な知識として統合し、保健領域で学習し、中学校で深化し、その成果をさらに保健、安全指導に発展させ、児童生徒が自主的に健康で安全な生活を実践できる態度や能力を育てることを期待しているものである。

したがって、保健・安全学習は、身近な生活における健康、安全に関する知識の習得に主体がおかれるものであり、健康で安全な生活の実践化を目指す保健・安全指導とは直接めざすねらいを異にするものといえる。

これらのことをふまえて、保健、安全教育の充実を図らなければならない。

(一) 保健学習の充実

1) 計画的に、確実な授業の実践を重ね、その充実を図るために時間の確保に努める。

2)教材研究、資料の収集とその活用により、学習が魅力的なものとなるように努める。

(二) 安全学習の充実

1) 安全意識の高揚と安全能力を育てるように努める。

2) 危険防止の態度・能力を高めるために、指導の基本事項を確立すること。

「指導」については、安全な行動の実践及び多発する交通事故の絶無を期し、特に「生活安全」と「交通安全」の二点にしぼり、更に指導を強めていく必要から、そのいくつかをあげると、

1 生活安全指導の充実

学級指導やホームルーム等で行う安全指導は、児童生徒の発達段階に応じて、系統的、計画的に指導が行われるものであり、日常生活における安全な行動の実践に必要な事柄について理解を深めいろいろな危険を予測して常に正しい判断のもと、自主的に安全な行動ができるよう指導することが必要である。

そのためには、教科学習時の安全や休み時間、校外生活、学校行事、クラブ活動、部活動、清掃時、登下校時等、具体的にあらゆる場面における安全のきまりや安全な行動について、時宜を得た指導が必要である。

2 交通安全指導の充実

学校における交通安全に関する指導は、自他の生命の尊重という基本理念に立って、身近な交通環境におけるさまざまな危険に気づいて、的確な判断のもとに安全に行動できる態度や能力を養うことが最も重要なことであり、更に、交通社会の一員として、その責任を自覚し、自己の安全のみならず、他の人々や社会の安全に貢献できる健全な社会人を育成することが大切であり、これらは学校教育活動の全体を通じて行うことは当然のことである。

したがって、児童、生徒等の心身の発達段階や地域の実情に応じて、その目標、月ごとの重点事項、学年ごとの指導時間、指導内容を含めた年間計画を再点検し、計画的、組織的に行うことが必要である。

小、中学校段階における重点的指導内容は、次のとおりである。

・小学校

・道路の歩行と横断

・乗り物の安全な利用

・自動車の機能

・自転車の安全な乗り方と点検

・中学校

・自転車の安全な利用

・自動車の基本的な構造と機能

・事故防止と安全な生活

 

八 教職員研修の充実

 

(一) 研修の意義と必要性

学校教育ではその目的達成のためには、一人一人の教師が、質の高い教育活動を行うことと、学校が組織としての十分な機能を果たすことが大切である。

そのため、教師は、常に研修に努め専門的な資質を高めることはもちろんのこと、現在の教育上の課題を的確に把握して将来を見通した教育理念を確立するように努めなければならない。また教育は、人間と人間との人格的関係によって成り立っていることから、教師は、研修を通して真の師表としての人格の完成に努力しなければならない。

 

(二) 当面する研修課題

 

新学習指導要領の全面実施も、本年度で小学校は三年目、中学校は二年目となる。どの学校においても、当面する最も重要な課題は、この指導要領に基づいて編成した教育課程を着実に実施することである。そして毎日の教育活動では、「人間性豊かな児童生徒の育成」「ゆとりある充実した学校生活」「基礎的・基本的な内容の重視と個性能力に応じた教育」等を目指して展開しなければならない。

そのために、各学校においては、今まで積み上げて来た研修の実績をもとに、次の諸内容を課題としてとらえ、研修をさらに深める必要がある。

・教育課程の基準の改善の趣旨の理解と自校の教育課程の検討改善

・自校の学校経営、学年一学級経営のあり方の吟味

・新学習指導要領の理解の深化

・教材の精選や授業の組織化の吟味

・児童生徒一人ひとりを育てる指導法の工夫

・小学校における合科的な指導や中学校における選択教科の研究

・学習指導要録の理解と観点別学習状況評価のための具体的方法の検討

・創意を生かした教育活動の時間の内容・方法・運営のあり方の検討

・道徳的実践力を促すための「道徳の時間」の指導の工夫

 

 

 


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