教育福島0073号(1982年(S57)08月)-022page

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・生徒指導の具体的な指導のあり方の吟味

 

(三) 校内研修の充実

 

1 校内研修のねらい

校内研修は、その学校の全教師が協力的・効率的に進め、教師としての資質の向上を図るとともに、学校全体の組織としての教育機能を一層高めようとするものである。

校内研修は、組織的・計画的にすすめるように学校経営の中に位置づけ、前述した研修課題をふまえて推進されることが期待される。

2 校内研修の点検と改善

校内研修は、各校とも、すでにそれぞれの計画に基づいて展開されているが、常にその状況を点検し、調整・改善を加えながら進めることが大切である。

1) 研修計画の点検

ア 役割分担が明確で、作業量の均衡が図られているか。

イ 一人ひとりの特性を生かし、全員が参画できる組織になっているか。

ウ 研修組織と指導組織の関連が図られ、研修結果が指導面に生かされるようになっているか。

工 研修に当てる時間が、年間を通して適切に確保されているか。

オ 月行事、週行事として定例的に研修時間を設定しているか。

カ 時間割編成の上で共通する空時間を設定するなど、教科部会や教材研究がやりやすいように工夫されているか。

キ 研修は、長期の見通しをもって進められているか。

ク 研修課題は、児童生徒の現実的な問題や教師が共通に抱えている問題をとらえているかなど。

2) 運営上の点検

ア 各回ごと、もしくは各学期ごとに到達目標を、明確に定めているか。

イ 各回ごとに、なにが解決され、なにが問題として残っているかが明確にされているか。

ウ 校内研修として全員で取り組む内容と個人研修にゆだねる内容とが明確にされているか。

工 研修が理論だけにかたより過ぎていたり、また、逆に現実の問題だけに振り回され、本質を見失ったりしていないか。

オ 研修結果が、指導の場で直接生かされているか。

カ 校外研修の成果が、校内研修で生かされているか。

キ 互いに年齢や立場にこだわらないで、率直に意見を交換し合う雰囲気ができているか。

これらの点検結果は、長期休業等を有効に生かして調整・改善するのがよい。

なお、その際に問題点を焦点化し障害要因を明確にして対処することに留意したい。

 

(四) 個人研修の充実

 

1 個人研修のねらい

「よく学ぶ者のみがよく教えることができる」と古くからいわれているように、自己形成に努める教師の姿は、それ、たけで児童生徒への無言の教育となる。

一方、教育活動は、一人一人の教師と児童生徒との相互作用によって展開されるものであるから、その成果は、教師それぞれの指導力に大きくかかわってくる。

したがって、研修は、全ての教師の生命であるとともに、主体的な個人研修は、全ての研修の基盤であるといえる。具体的には、次のことが期待される。

・指導力や経営力(学校経営、学年経営、学級経営、教科経営その他)を高め、教育活動を質的に改善し向上させる。

・他の職員を直接的あるいは間接的に啓もうし、学校全体の教育活動の質を高める。

・研修を通して自己を高め、教師自身のすぐれた人格を形成させる。

2 個人研修の点検と改善

個人研修についてもすでにいろいろな形ですすめられているであろうが、次の点を再点検して一層効果的な個人研修を進めていく必要がある。

・研修の意図やねらいが明確になっているか。

・長期の見通しをもって計画的にすすめているか。

・研修内容が、経験の度合いや年齢、校務分掌上の役割あるいは当面する問題などをふまえているか。

・校内共同研修や校外研修が十分に生かされた研修になっているか。

・研修結果が毎日の実践に結びついているか。

・研修結果を記録するなど、一つ一つの研修を着実にすすめているか。

なお、研修の効果を高めるために個人研修であっても同僚の協力を求めたり、あるいは記録機器(反応分折装置録音機、録画機、写真機など)の活用を工夫することも必要である。また、自分の研修をより確かなものとするために、積極的に他の教師の批判や指導を受けることも大切である。

校内研修や個人研修を更に充実させるためには、以上のほかに、県教育委員会や市町村教育委員会の行う研修会をはじめ各種の研究団体等の行う研修会に積極的に参加し、その成果を十分に生かすようにすることや、指導機関や研究機関の指導も積極的に受け、研修の効率を高めることも必要である。

また、研修結果をより確かなものにするとともに、さらに発展させるために、いろいろな機会に発表し、広く多くの人の批判を求める努力も必要である。

 

 

 


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