教育福島0073号(1982年(S57)08月)-032page
わたしの研究実践
やる気を持たせる学習指導の実際
郡山市立行健第二小学校
一 はじめに
本校は、昭和五十三年から三か年にわたり、郡山市教育委員会から教育推進校の指定を受け、「生徒指導をふまえた学習指導法の改善」について研究を進め、指定後も指定時の体制をくずさず継続して研究に努めている。
私たちは、まず「生徒指導をふまえる」を
・ 学習に子供を適応させる。
・ 授業における自己理解を図り、自己指導力を高め、自己実現を図る。こととおさえ、算数科「数と計算」の領域を窓口として、少人数学級の特質を生かした「一人一人にやる気を持たせる学習指導のありかた」の解明に努めてきた。
二 研究実践の概要
(一)基本的な考えかた
1) 学習に子供を適応させる。
一人一人の子供が、学習内容を正しく理解し、学習を進めることができる指導をしていくこと、そのために、
・ 学習上のなやみの相談にあたたかく応じること。
・ 一人一人を理解し、学習上の不適応の原因を分析し、個に応じた適切な指導をすること。
2) 授業における自己理解を図り、自己指導力を高め、自己実現を図る。
授業において「わかったこと」「わからないこと」、「できること」「できないこと」、「身についたこと」「身につかないこと」などを、十分知って「自らわかりたい」「できるようになりたい」という意欲的な心を育て、自分の力を最大に発揮しようとする気持ちにさせる指導を重視すること。
3) 「ピグマリオン効果」(期待効果)を指導の基調とする。
(二) 研究実践
何といってもやる気をおこすためには、子供に「わかる授業」を組織することである。
そこで
1)「わかる授業」にするための“めあて”及び“指導過程”について、次のように考えた。
「わかる授業」の実現のためには、授業のめあてが教師ばかりでなく、児童にとっても明確におさえられ、学習活動が展開されなければならない。この活動を支えるために
・ 本時のめあての明確化
・ 指導過程における指導段階、指導上の留意点などの改善
・ 一人一人に手をさしのべる指導のありかたなどの工夫を研究実践してきた。
第五学年の「分数の計算−一」「異分母分数の加法」を例として本時のめあて、指導段階などで関連を示した(資料1)。また、指導過程(資料2)は
資料1.本時のめあて、指導段階、算数科の目標との関連
本時のめあては、目標・内容の分折、単元の指導計画の中で取り扱う本時の位置、児童の実態をもとにしてきめられる。これは「異分母分数の加法」の関係例である。