教育福島0073号(1982年(S57)08月)-033page
基本型を考え実践している。
なお、これは望ましい型であって、教材によって弾力的に扱っている。
2) 一人一人に手を、さしのべる指導(個別指導)について
個別指導は、授業と授業外の時間に分けて実践している。
・ 授業では、
資料2のとおりであるが、学習における児童の状態を観察、点検し、児童の理解、習熟の度合いを的確に判断している。「わからない」「できない」状態から、「わかる」「できる」状態になるよう機会をつくり指導している。
教師自らも、児童一人一人を的確に観察、点検する力と、学習状況を判断する力を高めるため努力している。
・ 授業外の指導では、
火、木曜日の「学級の日」を中心に遅れがちな児童だけでなく、全員を対象として、生活、学習上のなやみの相談にあたたかく応じ、指導にあたっている。
3)「計算カカード」について
授業の進展度に伴って、易から難へ各単元のまとめもつけ、教師が計画的に自作編集した。
内容は、児童一人一人の計算力向上をめざし、更にくり返し練習ができるドリルになっているため、子供たちは意欲的に取り組んでいる。計算カードの頁には、学習記録として、得点と所要時間を記入する欄を設け、自己評価ができるようになっている。
三 まとめ
(一) 実践を通して
学習したことが「よくわかる」「やればできる」という学習に対する自信と意欲、また喜びを感じる子供に成長してきたのが一番うれしい。子供に、「わかる授業」を組織し実践してきたが、これが「一人一人にやる気を持たせる効果ある学習指導の根本」であることを、実践を通して再確認した。
また、子供の「わかりたい」という本来の気持ちを大切にして「一人一人の児童の実態を具体的にとらえ、援助と指導」のあたたかい手をさしのべることが、児童の「やる気」を支える。忘れてはならないことと思う。
(二) 今後の課題
研究実践の結果、計算力も高まり、学習のしかたが身についてきた。この経験を、算数科の他の領域、更には、他教科でも生かし、拡大していかなければならないと思う。また、「一人一人にやる気を持たせる学習」の基調「ピグマリオン効果」についても、継続して取り組んでいきたい。
最後に、自ら学ぶ教師群の姿が、この継続研究実践の土台となり、「やる気のある児童」を育てている。
(文責 穂積英雄)
資料2 1.単位時間の基本的な指導過程
※ (個)は、主として個別学習の場とし、個別指導をおこなう機会とする。