教育福島0073号(1982年(S57)08月)-034page
グループ研究・福島県立川俣高等学校
Hearing・Speakingの共同実践
英語研究グループ
はじめに
教師相互による自主的な研修や学習指導法の改善のための工夫は、いずこの学校におかれても真摯な取り組みがなされているところでありますが、本校英語科においても、主としてHear-ingとSpeakingを研修の中心にとりあげ、これを教師ひとりひとりの研修からさらには教師間相互の共同研修の方向へ発展させ実践を積み重ねてきました。
本稿は過去四年間にわたる共同研修の実践の記録であります。
一 生徒の実態
本校の全日制課程は、普通科と工業科(色染化学科・繊維工学科・機械科)で編成されている。学力面では、優秀な生徒がいる反面、基礎学力の乏しい生徒も増加しており、生徒の格差が大きい。その上、進路希望が多岐にわたっている。そのため、学習に対する意欲・関心や興味の度合いもさまざまである。英語に関しても、どの生徒に焦点を合わせた授業をすればよいのか難しい問題である。
しかし、生徒には純真な気持があり授業中の指示には素直に従い、時には英語を離れた教師と生徒のなごやかな交流が見られる。
二 研修の概要
数年前の「平泉・渡部」英語教育論争を待つまでもなく、英語教育に対する批判や要望は多く、私たち英語教師も十年一日のごとしの授業をしていてよいものでもなく、真剣に諸問題について考えるべきだと思う。特に「話せない英語」教育に対する風あたりは強く、教師側がいくらいろいろな理由をならべて今の事情を説明しても、一向に改善の方向に進まないものである。
そのような背景から、自分たちの英語力をいくらかでも向上できればという思いで、今から四年前(昭和五十三年四月)から熱心な一教師の呼びかけにより、English Speaking Time(英語を話す会)なるものが発足した。一週間に一時間、英語だけで聞き話す時間を設定し、この主旨に賛同する有志四名でスタートした。研究社発行の会話教本 Spoken America Englishの会話文の暗唱をしたり、あるテーマのもとに、自分の意見を述べ合う時間は、まさに緊張の連続であった。はたしてどのくらい継続できるのか不安であったが、お互いに厳しいけれども、温かい言葉で励まし合い、ほとんど毎週研修を重ねた。まさに「継続は力なり」。昨年度からは、時間講師を含めた英語科教員七名全員がこの研修に参加するまでになった。
やがてこの研修を機に、さらに別の研さんの機運が盛り上がった。お互いの授業を見せ合い、批評し合う授業研究にも抵抗がなくなってきた。「読む力」を深めるため原書を読んで意見を出し合う読書会も発足した。このように、英語のいろいろな分野での自己研修の体制ができつつある。それがひいては英語科の仕事を全員で積極的に取り組む体制をつくった。
このたび、はからずも私たちのこのようなささやかな研修に対し国・県から多額の研究助成金をいただけるようになったことは、大きな驚き・喜びであり、同時に大きな励みともなり、全員意を新たにしている。
三 実践記録
(一) Hearing・Speakingの研修
1) 目的
「話す英語」の習得の必要性がさけばれている現在、教師自身が「聞き・話す」英語に積極的に取り組む姿勢が大切である。少しでも自分たちの力を伸ばす上で対話の相手がいれば効果的であろうと、このグループ研修会が発足した。
2) 研修の時間設定と内容
一週間に一時間(今年度の場合は金曜日第五校時)話し聞く時間を設定する。輪番制のChairmanにより次週の課題を配布しておき、次の内容で研修が進められる。
ア 実用英語検定試験練習問題によるHearing(約五分間)
イ Spoken American English「アメリカ口語教本」のあらかじめ暗唱したPresentationの発表(約+五分間)