教育福島0073号(1982年(S57)08月)-036page
まちからむらからこんにちは
少年地域づくり活動
表郷村教育委員会
一 はじめに
近年の急激な社会構造の変化により地域社会が解体し、子育てにとって大切な役割を担っていたはずの「地域社会のもつ教育力」を喪失してしまったといわれて久しいが、健全な青少年の育成は、その地域社会のもつ教育力を回復することにあるといえる。
表郷村では、その地域社会のもつ教育力の重要性をふまえ、その教育機能をとりもどすとともに、少年の社会参加を一層促進するため、少年団体活動を重点とした地域活動促進事業を実施して四年目になる。
現在では、参加者も村内全域にわたり、趣旨に賛同する各種関係機関・団体等の協力、参加により、村民総ぐるみの活動までに発展してきている。
地域では、この活動への参加者達をいつの頃からか、 「少年自然探偵団」と呼ぶようになった。
二 俗称「少年自然探偵団」
地域の教育機能が発揮されるのは、自然環境の中で額に汗して、元気いっぱい遊びまわる子どもたちがあり、これを、援助する地域集団があって、それらが一つの場面で展開されることによると考えられる。
地域の人々がこの地域の教育機能を理解し得た活動になったことが「少年自然探偵団」の成立となってあらわれた要因と考えられる。
三 活動の概要
(一) 基本活動
1 草花生態調査(花いっぱい運動)
2 野鳥生態調査(愛鳥運動)
3 ゴミの実態調査(ノーポイ運動)
4 大自然への挑戦(野外活動)
5 文化財調査と愛護(文化財愛護運動)
6 歴史への挑戦(伝承遊び)
(二) 青少年教育を考える会
地域住民全員が村づくりの基礎となる「人つくり(健全な青少年の育成)」について真剣に考え、今日の子ども達が新たな家庭・社会へ環境の中で、失いがちな生活体験11社会参加を補うための役割とは何かを協議し、活動の援助協力をしょうとする会である。
(三) 自主的な活動への発展
この事業に参加する子ども達が、それぞれの地区で仲間集団を形成し、また、考える会に集い合った成人達が、親自身の日頃の仲のよい交流こそ地域の連帯感と健全な青少年を育てる要になるという共通理解のもとに働きかけ子どもの活動を世話する世話人集団ができて、地区での自主的な活動をするようになってきた。
村教育委員会で主催する基本活動に自主的な活動を組み合わせ、年間を通しての活動にまで盛り上がった地区が本年度は多くなってきた。
事例1 基本活動を使っての活動
1 大自然への挑戦海水浴、いも煮会、スキー大会
2 歴史への挑戦熊野講などの伝統行事への参加
3 ゴミの実態調査廃品回収運動 定期の清掃会
事例2 地区独自の活動
親子映画会、地区民運動会、親子の集い、少年自然の家親子研修、交通安全立看板づくり、機関紙発行、等々事 事例3 子ども達の自主的活動(略)
(四) 実行委員会議
子ども代表、地区世話人会代表、教育委員会事務局、本年度より老人クラブ等の協力団体代表者など五十名参加。
年間三回の定期会議、必要により随時開催。
大自然への挑戦(野外活動)−1