教育福島0074号(1982年(S57)09月)-006page
提言
男らしさ
陶芸家 結城れい子
筆者紹介
昭和四十年武蔵野美術大学卒業。専攻は工芸デザイン。岩尾磁器工業株式会社勤務を経て、会津本郷で作陶生活。昭和四十七年女流陶芸会員となる。翌年福島市飯坂町に桃咲窯を作り、本格的な作陶活動に入る。
主な制作は、福島消費組合本部壁面、東北病院ホール壁面、福島市レンガ通り陶板、全逓福島会館壁面、福島県杉妻会館ロビー壁面、福島県庁前広場陶板、福島県昭和の森広場陶板、福島ガス本社壁面など枚挙にいとまがない。
また、昭和五十年のオブジェ展をはじめ、「結城れい子陶展」を数多く催
最近の若者気質の傾向は、大変おおらかではあるが覇気に欠けるというデーターが出たと言う。
この傾向をどう受け取めるかは、世代の違いによっても異なってくると思われる。物不足の時期を多少なりとも体験した私にもこのデーターを見て、なるほどと思われる一面もあるが、今私たちは良い時代を生きているのは確かなことだと思う。
溢れるばかりの豊かなこの時代に、平均二人以下の子供を持つ家庭が圧倒的に多く、子供たちにもそれほど不自由を感じさせないだけ経済的ゆとりがもてるようになり、若者でなくても、人間おおらかになってくるのは当然とも言える。覇気に欠けるということは、人間満たされてくるとおだやかになり、それほどハングリーにならなくなるということだ。敗戦から立ち直るにはハングリーさが必要だったが、これだけ世の中豊かになるとそれほど必要性がなくなってくる。
また、社会全体がますます管理化されてくると、以前のようにチャンスもそう簡単には望めなくなる。あまり高望みせず、実現可能な範囲で事をなす、そんな醒めた若者たちが多くなっているのであろう。
それが、がむしゃらに突走って来た熱血感あふれる世代の人たちにはこのような若者を見ると覇気の欠如となり、「しっかりせい」と言いたくなるのだろうが、どうしてどうして現在の若者は、現実的で実にクールな面も持ちあわせている。
三人姉妹の真中に育ち、物不足の時期いつも姉のおさがりをさせられていた私は、子供心にも、すでにあの頃