教育福島0074号(1982年(S57)09月)-025page

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資料2は、種子の発芽と水分の必要性を調べる実験の例である。事前に、「たねの発芽に必要なもの」を調べた結果、その中に「空気」が必要であると答えたのは、一人だけであった。空気は、種子の発芽に絶対必要条件なので、どのようにせと、どこでそれに気づかせたらよいかと考えたが、水分の必要性を確かめる実験の際に、水量から空気に着目させられるのではないかと思った。

授業では、水の量をどのくらいにすればよいのかという疑問が児童から出た。そこで、資料2のように、発芽のようすと結びつけて考えさぜ、観察さぜた。その結果、「空気」についてだけでなく、ジャガイモの発芽とのちがいに気づき、さらには種子の内部のつくりにも目を向けていった。

この二つの学習から、児童の単純な疑問も予想と結びつければ、確かめようとする意欲が高まり、活動にも深まりがみられてくることがわかった。

 

〈実践 2〉

 

・観察結果から出た新しい疑問を重視して学習をすすめた例

 

「たねが発芽するための条件調べ」の実験で、いくつかの実験結果を考察して、そこから出た疑問を解決し、標理していきながらその条件を見つけるという方法を取り入れた例が資料3の(1)である。

また、資料3の(2)では、水裁培のジャガイモの観察結果で出た疑問を、土植えのいもで確かめ、さらにそこから出た疑問は光合成へ発展するという学習の例である。

この二つの授業では、観察した結果出された新しい疑問が、次の課題にまで高められたため、観察の視点が明らかになった。さらに、つながりのある思考の流れとなっていったため、観察得欲も持続したのだと進われる。

観察結果には、次の学習の課題となる大きな要素が入っている。そして、その要素は、児童の見たまま感じたままからこた率直な疑問の中にあり、その疑問を児童の思考の流れにのせて解決させることが、意欲につながることではないかと思う。

 

三 おわりに

 

硬い種子から、しわしわの緑色の葉が出てくる種子の発芽を見て児童は、

「葉は折りたたみ式かな」

「カプセルだ」

と考え不思議に思う。そのような疑問や発想を引きせさせて授業に生かすことができるならば、植物教材でも興味や関心を喚起させることができ、問題意識を持たせながら継続観察ができる。このことが、この実践をとおし強く感じさせられたことである。

 

資料2 発芽と水分の有・無

資料3  発芽の条件

 

資料3  発芽の条件

 

 

 

 

 


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