教育福島0074号(1982年(S57)09月)-026page

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グループ研究・福島県立東白川農商高等学校

 

理科1)学習指導に関する研究

 

理科研究グループ

 

一 はじめに

 

「自然科学の成果と方法をすべての生徒のために」という願いをもって、わかる理科の授業を研究課題として取り組んですでに久しい。 「授業こそ教師の本務である」と教師になりたての頃いわれたことがある。当時はあたり前のことだと思っていたが、教職二十年の現在、わかる授業追求のきびしさを、新たな思いでかみしめている。

 

二 授業改善の発端・経過

 

職員室内で「こんなに一生懸命教えているのに、なぜわからないのだろう」という声が聞かれたのはずいぶん以前である。「どうしたら食いついてくれるのだろうか」理科準備室での話し合いの中から、わかる授業へ向かって様々な試みがスタートして、数年が経過した。本校生は大多数が就職希望者であるので、高校が最後の学校生活と考えられ、広く自然科学の全領域を指導することが、望ましいのではないかという方向に意見がまとまり、五十二年度より全面的に基礎理科を必修とし、更に五十五年度より理科1の実験授業に着手し、現在に至っている。

 

三 共同指導体制の確立へ向けて

 

教育課程の改訂により教育は大きく変わろうとしている。豊かな人間性をもつ生徒の育成、ゆとりと充実を旗印とした教育が叫ばれる今こそ、わかる授業システムの具体的実践に取り組まなければならない。以下は「わかる理科1)」への画り組みの概要である。

(一)学習指導プログラムの作役

第一学年(3単位)

(ア)力とエネルギー

(イ)物質の構成と変化

第二学年(3単位)

(ア)生命の探求

(イ)自然界の平衡

(ウ)人間と自然

自然科学の基礎は物理、化学であるので、この分野を一学年で指導した結果、二学年の授業が効率的に進行できた。校内教育課程委員会で理科1)履習6単位が認められたので、ゆとりある授業指導案を組むことができた。

(二)共同指導方式による授業

(ア)授業の質的低下防止について

本校の理科1の授業は、担当者が一人で全分野を指導することになり、特に非専門分野の授業に当たっては、事前に各自の専門分野について指導し合い、時間の許す限り専門教師の参観、指導助言を受けることにした。また、一時間の授業を複数の教師で指導する試みも実施され、授業効果を高めることができた。こうしたことから、公開参観授業、校内理科研究会の回数は膨大なものとなったが、数多くの研究、討議、検討を重ねたことは指導者側のチームワークの強化と、授業改善研究の基盤を固めることにつながったと思う。

(イ)教具、教材は自作を原則

生徒に配布するプリントをはじめ、実験装置、標本、模型等は近年優れたものが市販されているが、本校では可能な限り自作することとした。例えば、

・二二・四リットルアクリル製立方体・酸化還元反応実験装置・気体反応定量測定装置・電導度検知器・断熱膨張実験装置・仕事と熱実験装置・直達日射計・フーコーの振り子・地球自転説明器等があげられる。

市販品があるのに、何もそのような苦労をする必要などないではないかという声もあるが、教師の情熱を少しでも生徒にわかってもらえるならば、多様化した生徒に何かを訴えることができるのではないかという願望をもって教材、教具等の改良、工夫を現在も継続中である。

(ウ)OHPの活用について

学習内容の定着度を高めるために、いわゆる教育工学的な手法を導入した授業研究も並行して進められ、視聴覚ライブラリーの映画、VTR、スライド、OHP等の研究も精力的に進められてきた。録画、スライド等の自作は予算的に困難な問題があり、TPの製作に重点的に取り組み、取捨選択、改良をしながら、多数のTPを自作し、(資料1)生徒の授業に対する興味、

 

 

 


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