教育福島0074号(1982年(S57)09月)-028page
まちからむらからこんにちは
放送利用学習を展開して
双葉町教育委員会
昭和五十六年度にNHK放送利用による社会教育研究の委託を受けた。
以下はその実践研究の概要である。
一 双葉町放送婦人学級
(一) 学級運営の概要
対象は、地域婦人会やサークル活動にも参加していない団地婦人とし「お母さんの勉定室」を視聴して、より民主的に生活してゆく出発の場として開設した。
開設のために、準備委員会の構成と役割分担を明確にし、基本方針を検討して、内容の系統化、焦点化を図り、地域の実情に沿った学級となるよう配慮した。
学級の運営は委員会を設けて行うようにし、学級長一名・副学級長二名・レター名・書記二名・運営委員七名の計十三名に、実施機関を含めて構成した。運営に当たり、学級生の希望や意見が生かされるよう、また、学習の成果が実践化習慣化まで高められるように特に配慮した。
(二) 研究課題
「放送を生活に生かすための学習方法の研究」
1) アンケート調査を実施し、学習内容や方法を検討する。
2) 学習の成果を、家庭での親子同時視聴への移行まで高める。
3) 視聴記録をとるなど、学習意欲を高め、生活化を図る。
(三) 研究の経過
1) 実施したアンケートの結果を吟味し、研究課題に沿った学習の展開ができるようにした。
2) 学習課題の解決のため、次の三点について運営した。
ア 放送内容の場面ごとに、各自の反応をメモさせ、見方、考え方、感じ方を高めるようにする。
イ 茶の間のテレビの特質を生かし、家庭生活の会話に意図的に取り入れられるようにする。
ウ 家庭生活の場から離れた学級における放送視聴の成果を、家庭での話し合いを通して生活化が図れるようにする。
これらのことについての集団思考を高めるため、放送学習のしくみを(図一)のようにとらえて指導を進めた。
(四) 研究の成果
1) 自主学習が芽生え、個人視聴の中から共通話題が提示され、学習の深まりが見られた。特に、自分の意見・感想などが、かなり明確に出されるようになった。
2) 放送が生活の中で、主要な役割りをもつことについての理解が、学級生に深まり、放送を利用しない他学級へも影響を及ぼすようになった。
3) 自分たちの生活を反省しみつめる意識態度が向上した。
4) 余暇を有効に活用でき、日常の問題や悩みごとの解決力がついてきた。
(五) 今後の課題
1) 放送利用学習と並行して、読書の習慣形成の施策が必要である。
2) 自分の意見をまとめるための、文章表現力を高める指導が必要である。
3) 放送の家庭視聴で、母親が中心的な役割りを果たすための、学級視聴の中での指導を十分に行う必要がある。
二 双葉町・渋川健康生活学級
(一) 学級運営の概要
心のふれ合う地域社会づくりを目ざして「地域学習と実践」を中心内容として開設した。
特に、日常生活の中で、健康であることがなによりの幸福であるという観点から、NHK「きょうの健康」を利用して、子供や婦人の健康及び高齢化社会に対応した健康全般についてを学習内容として取り上げ、実践化、習慣化まで高めるように配慮した。
このために、学級役員と実施機関から成る運営委員会を設け、十分な協議を行い、運営を続けてきた。
(二) 研究課題
1) 「きょうの健康」を継続視聴し、病気の予防と家族の健康管理についての知識理解を深める。特に、個人視聴・家族視聴を奨励し、学習目的達成に役立てる。