教育福島0078号(1983年(S58)01月)-020page
研究論文特選
理科
理科を中心とした合科的指導の実践
桧枝岐村立桧枝岐小学校教諭
星富子
体験的活動を取り入れて、豊かな発想や多面的なものの見方・考え方を育てる指導法の工夫
一 主題設定の理由
小学校教育課程の基準の改善において、低学年理科は、自然の事物・現象について、見たり、探したり、作ったり、育てたりする具体的な活動を通して、基礎的な知識・技能の修得や、自然を調べる能力や態度の育成が図れるように配慮された。また、学習指導要領第四節理科第三の一において「低学年の指導に当たっては……言語、数量造形などの諸活動と関連を図り、指導の効果を高めるように配慮する」旨が示されている。このことは、低学年児童の発達を考えた配慮事項である。
低学年の児童には、幼児期の心身の特徴が残されている。幼稚園では、自然活動の中で弔、健康、社会、言語、音楽リズム、絵画製作など、総合的に展開されてきた。その幼小の関連を無理なく図るために、合科的な指導の必要性が生まれてくる。
指導要領では「低学年においては、合科的な指導が十分にできるようにすること」と示し、指導書の教育課程一般編でも「低学年においては、児童の発達段階を考慮して、教科の目標や指導内容の一部において、これらを合わせて指導を行った方が、指導の効果がある場合も考えられるので、このような規定を設けたのである」と述べている。
こうしたかかわりと、理科のねらいを考えた時、教科の組み合わせや教科のねらいにせまる多様な活動を組織化して、楽しい学習が展開できれば、次にあげるねらいが達成できるものと考えて、本主題を設定した。
(1) 各教科の目標が効果的に達成できる。
(2) 児童の授業への主体的な参加が期待できる。
(3) 児童の豊かな発想や多面的なものの見方・考え方を育てることができる。
その中で特に、(2)、(3)を重点課題として進めてきた。
二 研究の計画と方法(省略)
三 研究の実践
(1) 年間指導計画の作成(資料1)
(2) 単元配当表の検討(資料省略)
・主たる合科的取り扱い教科としての理科、国語科、図画工作科の単元配当表。
・単元名、題材名、時期、時数を明示。
・指導に要する時間は、教科ごとに指導する場合の授業時数と、おおむね一致するように計画。
(3) 単元展開計画の作成
・単元構成の視点を次のよらにして進めた。
1) 学習する場や機会を同時にしたほうが目的達成に効果的であるとき。 (共通の場)
2) 学習活動の流れの中で、活動がより子どもらしく豊かで、問題意識が持続し、発展が期待されるとき。 (共通の学習意欲)
3) 学習する題材が、関連性や親近性をもっているとき。 (共通の題材)
4) 学校行事、特別活動の豊かな実践を展開する上で、教科で学習した力や内容をさらに発展させ豊かにするために総合的な活動が必要なとき。 (共通の活動)
(4) 単元展開過程に、評価の方法を明示(臨場評価と作品評価の位置づけ)
(5) 三学年児童から、合科的指導の効果や変容を探る。(省略)
(6) 授業の実際と考察
実践例1〔理科と国語科の合科的な指導の実践〕
−二年「春をさがそう」−
1) 単元構成の立場
学習する題材(国語科では「春をみつける」理科では「春をさがす」)が共通している。学習内容も、体全体を使って春をみつける。探すと関連性があり、学習の場も校庭や運動場、野原ということで共通している。単元全体が合科的取り扱いとなり、目的達成に効果的であると考える。
2) 合科的単元目標の設定の進め方
(資料2)
3) 単元の目標