教育福島0078号(1983年(S58)01月)-028page

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研究論文特選

 

国語

 

中心の明確な文章を書くための指導

 

高郷村立高郷第三小学校教諭

 

星慎一

 

一 主題設定の理由

 

(一) 地域の実態

1) 僻地という地域性からくる恵まれない言語環境におかれている。

2) 一日の中で文字や文を書く時間の少ない家庭が多く、大体の用事は電話ですまぜてしまい手紙を書くなどということもあまりない。

3) 家庭でテレビを視る時間が多く静かに本を読んですごすなどということも少ない。

(二) 児童の実態

1) 複式学級

三年男一名

四年 男五名 女一名

2) 児童の日記や作文を読んでみると「題と関係のないことまでくどく」書いてあって、書きたい中心のぼやけた表現が多い。

3) 児童の書いた感想文を調べてみると、感想が少なく、粗筋を書いているだけだったり、登場人物に対する個々の感想がのべられてあるだけだったりして、自分は「このように読みとった」という感想の中心が、はっきりと読み手にわかるような文章表現ができないでいる。

4) 児童の書いた手紙を調べてみると「どんなことを伝えたいのか」がはっきりとしない表現のしかたになっている。

(三) 教育課程

改訂学習指導要領の国語科の改善事項として、文字言語及び音声言語による表現力を養わなければいけないとし特に、文章による表現力を高めることに重点がおかれるようになった。

このようなことから教科書教材(光村図書)の「気持ちをこめて」(第三学年)「読書感想文を書こう」(第四学年)という表現領域の単元をとりだし、自分の気持ちや伝えたいことを相手に正しく伝わるように手紙を書いたり、本を読み、強く思ったこと、感じたことを感想文に表現していくことを通して、本主題に迫ろうとした。

 

二 研究仮説

 

(一) 概括的仮説

文章表現にはたらく取材、構想、記述、推敲のしかたを指導すれば学習のしかたがわかるとともに、書く意欲がわき、自分の気持ちや伝えたい事柄が読み手に正しく伝わるような手紙を書けるようになるであろうし、また、書きたい中心のはっきりとした感想文が書けるようになるであろう。

(二) 具体仮説

・三年の場合

1)取材指導においては

ア) 読んだ本の感想をもとにして教師とえんぴつ対談をし、書く材料を集める。

2)構想指導においては

ア) 教材文を視写し、手紙の書き方をつかむ。

イ) 取材したものから自分のもつとも伝えたいことを選び、組みたて表に手紙の組みたてを記述する。

3) 記述指導においては

ア) 組みたて表をもとに手紙を記述する。

4) 推敲指導においては

ア) みなおし表における自己評価をもとに書き直す。

以上の流れにそって指導し、学習させていったならば、書く意欲がわき、自分の気持ちや、伝えたい事柄が、読む人に正しく伝わるような手紙を書くことができるようになるであろう。

・四年の場合

1) 取材指導においては

ア) 本を読んで、もっとも心をうたれた感想を探し、その感想をTPのたんざくに朱書する。

イ) 感想の中心をいっそうはっきりさせるため、もう一度読みかえして、TPのたんざくに感想を書きこんでゆく。

ウ) 感想を書きこんだTPのたんざくを本の間にはさみこんでゆく。

2) 構想指導においては

ア) 感想文のいろいろな書き方を友達の作品をもとにつかんでゆく。

イ) TPのたんざくをTPのシート上にならべ、それをOHPに

 

 

 


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