教育福島0078号(1983年(S58)01月)-040page

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教育センターから

 

教育相談講座の紹介

 

一 はじめに

最近のように子供の自殺、非行、登校拒否(不登校)などさまざまな問題が発生している時、学校においても教科指導や特別活動に傾斜した指導でなく、学校全体で児童生徒の心理をよく理解し、各学級においても、教育相談活動が積極約に行われる必要がある。

学校教育相談は単に不適応児や問題児の指導だけでなく、より積極的にその予防や精神的健康の増進に努力するためのものである。そのためにもより多くの教師が教育相談に関心を持ち、具体的技法に習熟する必要に迫られている。

しかし現状では

1)教員養成大学で教育課程の内に教育相談に関する講座を持つ大学が無い。

2)多発する問題に的確に対処するためには、年代を問わず一人一人の教師が教育相談に応ずるためにいわゆる教育相談的教師になる必要がある。

3)子供の問題の多様化、深刻化にともない、従来の集団の規律を重視した生徒指導からはみ出した子供への対応にせまられており、そのためにより高度の専門的教育相談的技法を身につけた教師が必要である。

4)各学校においては、一人一人の教師の相談活動に対してスーパーバイスできる教員が少なく学校教育相談の発展に支障をきたしている。

5)更に当教育センター相談部に来所し相談を受ける件数が急激に増加し、五十年度の四百七十五件に対し、五十六年度は一千四百五件にのぼりこれ以上の増加には対処できない状況にある。

以上のような状況を打開するために当教育センターにおいては、小、中学校の全講座に教育相談的教師になるための講座内容を課し、全教師の教育相談に対する理解と初歩的技術の習得に努力している。

教育相談に関する専門講座としては

1)中学校教育相談講座(一次)

2)高等学校教育相談講座(一次)

3)中学校、高等学校教育相談講座(二次)の三講座を実施し、一次ではそれぞれ、中、高校において一般的問題の相談に応じる、いわゆる初級カウンセラーの養成をねらいとし、二次では専門的技法を必要とする相談に応じられる中級カウンセラーの養成をねらいとしている。

二 各講座の概要

(一)中学校教育相談講座(一次)二班編成各三十名および高等学校教育相談講座(一次)一班編成三十名内容の概略

1)ジョハリーの窓を通して

−感受性訓練−

カウンセラーの資質の一つとして感受性が豊かであることが要求されるが、そのための基本訓練を目的としたものであり、言語的情報のみにたよることなく、むしろ非言語的情報をもとに、素直に相手を感じ、それを自己の枠組みの中で理解して行こうとするものである。更に、それを通じて自己理解力や自己洞察力を身につけさせようとするものであり、応用範囲も広い。

2)YlG性格検査と親子関係診断テスト

質問紙法の性格検査としては、歴史も古く、信頼性も高い、矢田部・ギルフォード性格検査を用いて自己診断しながら、解釈のテクニックを学習すると同時に自己の性格特性についても理解し、今後の指導の基盤として役立てようとするものである。同様に親子関係診断検査(田研式)についても自己診断をし、自分の親としての側面を理解しながら、今後父兄等に対し実施する際の基本的な技術を修得していく。

3)思春期の精神障害(情緒障害)

激動の時期といわれる思春期の問題を精神医学的側面から堀りさげ、それを更に身体的発達と心理的又は、精神的発達の関連でとらえ理解しようとするものであり、本年は県精神衛生センター所長上野文彌先生、東京都教育研究所教育相談部長緑川尚夫先生を講師として行われる。

4)相談面接

来談者中心的カウンセリングにおける相談面接の具体的技法について、講義、テープ、フィルムを見ながら学習して行くもので、リードの技術沈黙の意味等をいわゆるクライエントセンターカウンセリングの立場か

 

 

 


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