教育福島0078号(1983年(S58)01月)-041page
ら見ていく。カウンセリング技術に
ついては、この講座の中心的な内容
のものである。
5)個人理解の方法
−事例研究法−
問題を持つ子供について、指導者が一人よがりや主観的な指導におちいることがないよう、科学的で客観的な方法で、より適切な指導方針を得ようとするのが事例研究であるが、本年は、千葉県教育センター相談部長相本恒郎先生、千葉市立第二養護学校長(前相談部長)向後正先生をお迎えして、多くの事例をもとに熱の入った研究がなされる。
6)自律訓練法の基礎
自己暗示により緊張をやわらげ、落ちついたゆったりした状態(自律状態)を作り出そうとする技法でシュルツ氏によって始められたのであるが、この講座では、その生理的背景を概説し、標準練習をマスターすることをねらいとして実施している。
(二)中学校・高等学校教育相談講座(二次)三十名(中学校二十名、高等学校十名)前・後期
内容の概略
1)エゴグラム−自我状態の分析−
エリック・バーンによって始められた交流分析のために、九州大学医学部が日本人向けに開発したもので、方法が簡単で実施が容易な上に信頼性の高いものである。ここではその利用方法について学ぶ。
2)バラムテスト −樹木画テスト−
質問紙法の欠点をおぎない、簡単に実施することのできる投影法検査として広く実施され注目されているもので、解釈の基本について学習し、投影法検査の特徴を理解する。
3)カウンセリングテープ分析カウンセリングのテープを聞きながら、面接技術について、より現実的な形で学習しようとするもので、この講座の重要なテーマである。
4)ロールプレイングこの技法は、役割演技を通じて相手の心を理解しようとするもので参加者は例年楽しく自分の役割を演じながら、今まで知らなかった自分の世界を発見している様である。
5)カウンセリング実習この講座の中心をなすもので、代表者がクライエント(来談者)と面接し、他の受講者がそれを観察して、後に協議会形式で批評する。緊張の内に充実感あふれた時間である。
6)YIG性格検査の分析一次で行ったY−G検査の方法をもとに、問題生徒に実施して持ちよった検査を発表し、互いに研究し合い問題解決の糸口を発見するもので、指導に直接役立つものである。
7)マイクロラボラトリートレイニング
−感受性訓練−
一次で行った感受性訓練をより高度なものへと発展さぜたものである。
8)個人理解の方法 −事例研究−
一次で学習した事例研究の方法を生かして、実際指導中の事例を互いに持ちより研究するもので、なまなましい事例、未経験の事例にふれ、問題解決のためにどの様にアプローチすればよいかを緊張の中で試行する。
9)行動力カウンセリング
学習理論にもとずく行動修正法をカウンセリング的視点で実施しようとするもので、新しいカウンセリング理論として注目されているものであり、学校現場で理解されやすいものであろう。
10)教育催眠−理論と演習−教育・医学における催眠の利用は、近年注目されつつあるところで、その理論を山形大学の高橋良幸先生を講師として学習するとともに、初歩的な催眠誘導の技法を実習し、催眠療法についての理解を深めるためのものである。
三 おわりに
以上内容の概略について述べたが、内容の配列の上からは、一次を受講したあとで二次を受講するのが望ましいと考えている。
一次、二次、どちらの受講者の先生方からも、楽しく有意義であり、すぐ役に立つ講座だとの評を得ているが、更に充実した講座にするため、研究を重ねている。
子供の問題の多様化にともない、より高度な内容を持つ講座を計画しなければ、対応できなくなりつつある現実を打開するための努力も重ねられている。
当教育センターにおける教育相談講座は、生徒指導実践の出発点であると考えているが、この講座を手がかりにより充実した指導ができるよう期待して講座の紹介とする。
研修風景