教育福島0080号(1983年(S58)04月)-035page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

知っておきたい教育法令

 

信用失墜行為

(総務課寵主事.古関隆史)

 

一 信用失墜行為と教職員

 

信用失墜行為の禁止については、地方公務員法(以下法という)三三条に

「職員は、その職の信用を傷つけ又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」旨の規定がある。すなわち、公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべきものであり(法三〇条)一全体の奉仕者たるにふさわしくない行為により公務に対する住民の信頼を裏切らないように信用を保つ義務を負っているのである。

特に教職員は、直接に児童生徒の教育に携わるのであるから、住民の寄せる期待・信頼は他の公務員より大きいものがあり、職務の内外を問わず、教育という職の信用を傷つけ、教職員の職全体の不名誉となる行為を厳に慎み常に住民の批判を受けるような行為のないよう留意することが肝要である。

 

二 信用失墜行為の具体例

 

どのような行為が信用失墜行為にあたるのかは、法三三条の規定以外に具体的な定めはないが、結局は全体の奉仕看たる職員の服務義務の本質に照らし、一般社会通念に従ってケース・バイ・ケースで判断するほかはない。

信用失墜行為をなした場合は、法二九条一項一号(法令違反)の懲戒事由に、更には、同三号(全体の奉仕者たるにふさわしくない非行)に該当し、懲戒処分の対象となる。そこで、懲戒処分を受けた事例は、信用失墜行為の該当事項を知る一つの手がかりとなる。昭和五十六年度の全国にわたる資料(文部省初等中等教育局地方課編「教育委員会月報」三八三号所載)によりその主なものをあげる。

○交通法令違反 ○児童生徒に対する体罰 ○飲酒の上での事故 ○暴力行為 ○経理上の不正 ○不適正な事務処理 ○わいせつ行為 ○収賄○窃盗○公職選挙法違反○無断欠勤等である。

 

三 交通法令違反と懲戒処分

 

これらの事例の中で交通法令違反で処分を受けた者は四百五十六人に達しその件数が最も多く、教職員の信用失墜行為として最近特に問題となっている。その内容をみると、飲酒運転、スピード違反、無免許運転、前方不注意、信号無視などいろいろあるが、遵法精神を指導する立場にある教職員のこれらの行為については、世人の批判は大変厳しいものがある。

なお、前掲資料によると、交通法令違反で処分を受けた者のうち、飲酒運転を原因とする者は百九十五人で四十二パーセントを占め最も多い。この飲・酒運転に対しては、各県とも厳しく対処しており、大部分の者が減給以上の重い処分を受けている。

本県における「道路交通法違反関係教職員の懲戒処分等に関する基準」(抜すい)は、下表のとおりである(昭五一・七・八教育長通知、昭五五・九・一に一部改正)。

 

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。