教育福島0081号(1983年(S58)06月)-015page
いるものの、生き生きとした集団活動はみられず、粗野で日常の基本的な生活習慣が身についていない者が多い。
また、夏の観光は、生徒を取りまく環境を著しく変化させつつあり、その影響は無視できないものがある。
更に、地域の実態から考えると、昔から他地域との交流が少なかったため住民のほとんどが、何らかの間係で親戚関係になっており、排他的閉鎖的な考えが大勢を占め、封建的な古いしきたりを大切にしている。
近年、高校進学熱が高まり、高い進学率を示し、父母の教育に対する関心は大である。しかし、家族は、共働きや長期間の父親不在(漁船)が多いため、家庭教育が不十分であり、特に、生徒の基本的生活行動様式、情緒、しつけなどの面で欠ける点が多い。
調査によると、一人一人が将来について目標をもち、且つ、その達成をめざすための日常の生活態度の形成が未熟であることが明確となった。教育が単に知識、技能の伝達訓練による能力開発にとどまらず、それを通して人間の本質そのものに根をおろした、個人の可能性を開発するものでなければならないことを感ずるとぎ、この生徒たちをよりょく伸してやらなければならないと痛感する。
ここで、改めて生徒指導の本質を見きわめて適切な生徒理解に努め、それを基盤として生徒たちが最善をつくして、基本的生活の習慣を身につけて生きぬこうとする力を培い、「自主性の中にも自律ある生徒の育成」こそ当面の課題であると考え、本主題を設定した。
四 研究内容
(一) 問題解決のための見通し
基本的生活の習慣化を図り、自主性の中にも自律ある生徒を育成するには
○生活目標と実践計画を立てる。
○適切な生徒理解をもとにして教師と生徒、生徒相互の望ましい人間関係を確立させる。
○的確な自己理解のもとに、具体的な実践の各段階において、適切に評価活動を実施し、改善策を講ずる。ことを計画的、継続的に生徒自らの手で行わせ、成就感を味わわせることが有効であろう。(資料1)
(二) 研究と指導の方針
1) 基本的生活習慣として身につけさせるべき要件を、父兄、生徒に対する意識調査などをもとにして検討を加える。
2) 全教師の共通理解のもとに指導体制の確立を図り、学校の教育活動全体を通して、適切な場と機会をとらえて一貫した指導をすすめる。
3) 教師と生徒の信頼関係の確立こそ生徒指導の基本であること。そのために、教師自らが変容を図り、生徒とともに行動し、態度で示す生徒指導に留意する。
4) 生徒がめあてを持ち、意欲的に自己の向上を図れるようにするため、自己をよく見つめ、理解させる手だてを工夫し、教育活動に位置づける
5) 教育相談を計画的に実施するとともに、家庭との緊密な連絡と協力により「習慣化」を一層確実なものとする。
6) 特に重視することとして、
基本的生活の習慣化は、ともすると「規律」や、しつけ指導に偏し、生徒の行動を規制する活動が強くなりがちであることから、生徒の「活動性」や「自発性」の育成という、「人間形成の発達課題」に即した「習慣化指導」を重視する。
(三) 研究、実践の領域
生徒指導の機能を十分発揮させるには、家庭、地域、関係機関などとの緊密な連携が極めて重要である。この点本校では、先にも述べたとおりすぐれた実績を残しているので、この研究の一環として一層の充実を期すべく実践をすすめているが、ここでは主たる研究、実践の領域を次のとおりとした。
1) 日常生活指導
学校内外の生活全般にわたる、生徒の個別的、集団的諸活動を通した習慣化と行動様式の確立
2) 特別活動等の指導
学級会における諸活動を基盤とし生徒会活動、学校行事のほか、創意の時間、「ゆとり」の時間の活動に
資料1 本校の教育目標との関連