教育福島0081号(1983年(S58)06月)-027page
東西南北
むし歯・むし歯・とんでけ
沢田小・特別栄誉賞校に
石川養護学校を左に見て最初の信号機で国道百十八号線を右に折れると、白河へ通じる道路はなだらかな勾配を作って舗装がゆきとどいている。田植えの長閑な風景の中を進むと、やがて沢井の集落に入る。石川町立沢田小学校は、緑の多い環境に恵まれた中にあった。風雪にたえ、歴史のある木造校舎は慎ましやかな感じすら与える。
玄関を入ると、「こんにちは」と大きなあいさつに迎えられた。四年生程の児童であろうか、こんな一寸したところに指導のあとがみられる。角田平吉校長の開口一番のことばは、「この学校は教頭をはじめとして先生方が一生懸命で、児童も実に素直なんです」ということであった。なるほど、児童はおおらかで、どの顔もニコニコしている。
ところで、沢田小学校は、今年度の「よい歯の学校」表彰で特別栄誉賞校に選ばれた。この「よい歯の学校」表彰には、努力校・優秀校・三年連続優秀校の中から選ばれる特別優秀校・特別栄誉賞校と、その内容実績により賞が与えられるが、今回、沢田小学校が選ばれた特別栄誉賞校は、十年連続優秀校に選ばれることが条件で、この厳しい審査を見事パスした同校では、学校をあげて大喜び。
口腔衛生活動の一つとして取り入れた歯の衛生活動は、この学校では、歯みがきタイムを時間に入れるという創意工夫の中で行われている。芳賀正子養護教諭は、「初めは先生の指導に頼っての活動でしたが、今では、児童が自主的に保健委員会を軸にして全校あげて歯を守る運動を展開しています」と話してくれた。
訪問した時間が、ちょうど給食のとき。ガチャ、ガチャと食器のふれあう音がにぎやかだ。十二時四十五分から昼食後の「歯みがき」タイムを設定していると聞いていたので、時間がくるのがもどかしい。
十二時四十五分−「歯みがき体操」のレコードにあわせて、全校生三百四十四名が三か所に分かれて一斉に歯みがきが始まった。そこには、角田校長をはじめ先生方全員の姿がある。
同校では、学期ごとに歯みがきテストを実施したり、むし歯のある児童名を廊下に張り出すなどして、「むし歯予防」運動を展開しているが、学校内における活動だけでは不十分と、家庭での朝夕の歯みがきを奨励し、歯みがきカレンダー作戦(右図)を取り入れている。
これは、自宅での歯みがきを確認するため、毎日カレンダーに記入σ毎月一回優秀なクラスを表彰するという。学校、家庭が一体となってのむし歯予防運動が実を結んでの特別栄誉。心から祝福したい。
帰りぎわ「このような立派な賞をいただくと来年がこわいみたいです。でもみんなでがんばってやっていきますよ」と角田校長。大きな体の細い目がメガネの奥で更に細まった。
みんなで一緒に