教育福島0101号(1985年(S60)06月)-006page

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提言

 

「緑の惑星」に思うこと

 

いわき短期大学教授

理学博士柳澤一郎

 

〔筆者紹介〕

 

〔筆者紹介〕

柳澤一郎・やなぎさわいちろう

大正七年いわき市平に生まれる。昭和十一年県立磐城中学校、同十七年東北帝国大学理学部地質学古生物学科卒業、以降東洋拓殖、日本石炭鉱業会、東部石炭協会等で常磐炭田の石炭資源開発調査に貢献。昭和二十六年県立磐城高等学校教諭にむかえられ、往年の名一塁手として磐高野球部の育成にも努めた。また、このころいわき地方有数の学術研究団体「平地学同好会」を発足、その指導や後輩育成に努め、同時に、教育活動のかたわら東北大学地質古生物教室の畑井研究室に学び、同四十二年東北大学より理学博士の学位を授与された。また同四十三年国立福島工業高等専門学校講師、同四十五年いわき短期大学講師を兼任した。同四十七年には県立湯本高等学校教頭、同四十九年磐城高等学校教頭となり、同五十二年三月退職。

この間、いわき市文化財調査委員、同市編さん委員、同市環境緑化審議会委員、同市博物館設立研究会副会長、同市教育文化事業団理事等としていわき市の学術文化振興の中心的存在として活躍してきた。

現在、本県の自然環境保全審議会専門委員、いわき市文化財保護審議会長等をつとめ、いわき短期大学教授。

主な著書は、「阿武隈山地東縁のおいたち」「恐竜がすんでいた−−いわきの大地」「大地の驚異」「いわき海岸紀行」等多数、学界への発表論文は五十八にのぼる。

 

最近になって、わたしたちの住んでいる地球がかけがえのない地球とか「緑の惑星」とか云われ、〈7日ほど地球を深く見つめ、考える時代はなかったと思う。正に「地球時代」ども云える。人工衛星の発達によって未知の分野がどんどん解明されつつある昨今である。

さて、この緑の惑星の存在を、そして今日的意義を「空間と時間」から少しばかり眺めてみたい。月のない晴れた夜に天をあおぐと無数の星がまたたいている。この銀河宇宙には一千億以上の恒星が分布していると云う。緑の惑星−−地球−−は太陽系に属し、この銀河系の中心のまわりを廻っている。 この太陽すらも銀河系の一点にすぎない恒星なのである。このような広大無辺の宇宙空間の中で、地球が誕生し、生命の出現を見るに至ったと云う事実がまづ第一点である。第二点はすなわち、時の流れである。この緑の惑星が誕生して四十六億年と云われている。先づ生命が誕生し、原始の生物そして魚類や陸上植物の出現、つづいて恐竜時代、新生代の時代になって漸く哺乳類時代となり、今から数百万年前に人類の出現となる。つまり現代人(ホモ・サピエンス)の誕生まで四十六億年の歳月が流れていったと云う見方もあろう。この長いタイム・トンネル!今

 

 

 


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