教育福島0101号(1985年(S60)06月)-009page
発型非行を犯した者が二千九百五十四人と多く、全体の六三・一パーセントを占める。(資料4)
また、特別法犯少年六百一人の内訳を見ると、シンナー等を乱用した毒劇物法違反少年は五百人で、全体の八三・ニパーセントを占め、依然として多い。(資料5)
その他、暴行、傷害、恐喝等の粗暴犯が増加し、校内暴力も発生している現状である。
さらに最近では、全国的にこのような反社会的な問題行動のほかにも、いわゆる「いじめ」や登校拒否、学校生活に対する意欲の欠如の問題が憂慮される状況となっている。
そのため、児童生徒の非行等の対策が強く要請されているが、本来の生徒指導の意義は、このような非行対策といった、いわば消極的な面にだけあるのではない。積極的にすべての生徒のそれぞれの人格の良き発達と、学校生活が生徒の一人一人にとっても、様々な集団にとっても楽しく充実したものになることを目指すところにある。したがって、このねらいを追究していけば、そのまま児童生徒の非行防止の効果が上がることに着目する必要がある。以下、積極的な生徒指導を推進していくに当たって重視したい点について述べる。
一、生徒指導の基礎
(1) 基本的な生活習慣の定着
近年、家庭生活には大きな変容が見られ、核家族化、家族意識の弛緩、生活形態の変化等による家庭の教育機能の低下が指摘されている。その結果、家庭において必ずしも望ましい生活習慣がしつけられているとは言えない。例えば「朝一人で起床できない」「目上の人に丁寧な言葉が使えない」「身に着ける衣服の準備ができない」「約束の時間が守れない」等である。
例えば
「朝一人で起床できない」
「目上の人に丁寧な言葉が使えない」
「身に着ける衣服の準備ができない」
「約束の時間が守れない」
等である
したがって、基本的生活習慣の中で家庭で十分な指導がなされていない事柄に対しては、学校がこれを補い、指導する必要が生じてきている。基本的な生活習慣が確立されていなくては、学校生活を送る上でも支障をきたし、好ましくない生活態度や問題行動の発生に結びつく危険性を十分もっている、望ましい生活習慣の指導は、学校を秩序のある"学ぶ場"としてふさわしいものにするとともに、人間の生き方についての自覚を深める上から重視しなければならない。このため、あいさつ運動を重視する、時間を守る、服装をきちんとする、学校を美しくする等の生活目標を設定し、繰り返し指導することが大切である。
(2)好ましい人間関係の育成
生徒指導を機能させていくためには、教師と児童生徒間に好ましい人間関係を育成していくことが最も重要である。
資料6は、教師の理想像を児童生徒に対するアンケートからまとめたものである。これを見ると順位に若干の上下はあるものの、指導ぶりが熱心でわかるように教えてくれる先生、だれに対しても公平に接し、気持ちをわかってくれて、相談しやすい先生が求められていることがわかる。このようなアンケートをはじめ、教師の性格や人格特性に関する研究によると、児童生徒が心から敬愛し、少なからず影響を受けた教師は、自分のことをわかってくれていた教師であり、自分のことを心
資料3 刑法犯少年の年齢別内訳
資料4 刑法犯少年に占める初発型非行少年
(注)
〇特別法犯…軽犯罪法、児童福祉法、覚せい剤取締法、毒劇物取締法、県青少年健全育成条例等に違反した者
資料5 特別法犯少年に占める毒劇物法違反少年
資料6 児童・生徒の理想の教師像
教育心理 VOL31No9 P694より(東大 井上健治氏の調査)