教育福島0101号(1985年(S60)06月)-010page
から認めてくれていた教師であるといわれている。
しかし、資料7によると、「悩みや心配ごとがあったとき、だれに相談するか」の設問に対し、先生と答えた者が少ない。最大の悩みが勉強や進路のことでありながら、教師との相談が少ないのは考えさせられる。
したがって、児童生徒との接触が多い担任は、まず児童生徒から信頼されるように努めるとともに、心情を踏まえた対話を重視し、心のつながりをもっていることが大切である。
また、児童生徒間の人間関係については、お互いに認め合い、励まし合う雰囲気づくりが大切である。他人の失敗を嘲笑したり、他人をいじめて喜んだりする風潮は厳にやめさせるようにしなければならない。特に家庭的に恵まれない児童生徒や学業不振の児童生徒、行動の緩慢な児童生徒などが孤立して問題行動に走りがちなので、友人として温かく受け入れてやるような学級づくりに心掛けることが大切である
二、生徒指導の体制
(1) 全教職員の一致協力体制
校内暴力が起きたり、非行が続発したりするような場合は、教師の共通理解や生徒指導の組織等に不十分なところがあるといわれる。
例えば
○生徒指導を生徒指導主事や学年主任などの一部の熱心な先生に任せている。
○問題行動が起きた場合、学級担任に指導を任せている。
○学校生活のきまりや基本的な生活習慣の指導に不一致が見られる。
○問題行動が起きた場合、組織的に活動できる体制になっていない。
などである。特に校内暴力は、生徒が学校の教師集団の志気を敏感に感じとり行動を起こすといわれている。
したがって、校長のリーダーシップの下にすべての教師が一致協力する体制が確立されていることが大切である。そのためには、全職員が自校の課題を明確にとらえ、指導計画に従って同一歩調で実践に当たらなければならない。
(2) 学級担任の役割
生徒指導に当たって学級担任は、生徒との接触の機会が多いことから最も適切な指導者である。したがって、生徒の立場に立ち、触れ合いを密にしながら生徒を学級全体の諸活動に進んで参加させ、できた喜び、責任を果たした満足感、協力してやりとげた連帯感、奉仕のあとの爽快感などを味わわせ、望ましい適応関係を育成することが大切である。
問題行動が起きた場合は、学級全体に対する指導と当事者に対する指導を適切にする。学級全体に対しては、問題のもつ意味を十分話すとともに、教師の姿勢を明確にする必要がある。当事者に対しては、教師が精神的に安定した態度で児童生徒との信頼関係をつくり、児童生徒を甘やかしたり、特別扱いをしたりすることなく、将来への希望をもたせながら指導する必要がある。
三、充実した学校生活
(1) わかる授業の展開
学校生活の中心は授業である。この授業が教師の説明中心に一斉授業の型でばかり進めると、学習内容が理解できない児童生徒が出てくる。
“勉強している内容がわからない”“授業がつまらない”といった毎日では、学校生活に魅力がなくなり、刺激や興味を他に求めるようになるのは当然である。非行や暴力行為にはしった生徒の大部分が学業成績が不振であった事実に着目する必要がある。
これらの児童生徒に対する教師の助言が“君は努力が足りない。がんばれ”だけでは何ら解決にはならない。学習の遅れがちな児童生徒には特に目をかけて指導し、学習の楽しさや喜びを味わわせてやることが大切である。
そのためには
1)どの教科のどこにつまずいているかを把握し、つまずきを乗りこえられる手だてを講ずる。
2)学習の仕方を具体的に教え、訓練する。例えば学習を進めるうえで最も基礎となる辞書や事典の引き方、年表の見方、地図帳の使い方をはじめ、教科独自の学習の進め方、ノートの取り方や家庭学習の仕方などである。教師はこれらの「学習の仕方」の学習を指導計画に位置づけ、意図的に継続して指導する必要がある。
3)教育相談において学習に関する相談も取り入れる。例えば、学業不振の要因やつまずきを検討し、人間関係、性格、学習の仕方等について多的に援助する必要がある。
このように、教科学習の中に生徒指導の機能を取り入れ、授業の中でも教
資料7 「あなたは悩みや心配ごとがあったときだれに相談しますか、次の中から二つ以内で選んでください」
1.父 2.母 3.きょうだい 4.祖父母 5.親類 6.先生 7.友達 8.先輩 9相談する人がいない
双葉郡小中学校生徒指導研究会調べ(昭和59年)
中2 女全員(単位:人)