教育福島0101号(1985年(S60)06月)-011page

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師と児童生徒との心の交流を深め、学習意欲を持続させることはきわめて重要である。

 

(2) 道徳教育、特別活動の重視

問題行動を起こす児童生徒は、善悪の判断が不十分で社会規範や学校のきまりを遵守する意識が低い。また、基本的な生活習慣も身に付けていないことが多い。

そのため、道徳の時間をはじめ道徳教育の一層の充実を図る必要がある。特に、生命に対する慈しみの心、他人を思いやる心、善悪をわきまえ正しく行動できる強い意志等、人間として普遍的に求められる資質を養うことが大切である。

また、特別活動を重視することにより、教師と児童生徒、児童生徒相互の人間的な触れ合いを深め、能力や適性を十分に発揮させ、楽しく充実した学校生活を送らせるようにすることが大切である。

 

四、問題行動の指導

 

(1) 問題をもつ児童生徒の指導

問題をもつ児童生徒の指導に当たっては、問題の実態を見つめ、要因の究明を図るとともに、問題の背景や生徒の心情を共感的に理解することが大切である。したがって、日ごろから生徒の立ち直りを図るための事例研究などの研修が必要である。これは全教師が一致した考えで実践する協力体制の第一歩でもある。もちろんこのことは、画一的な指導を機械的に行うという意味ではなく、それぞれの教師の持ち味を生かしつつ、共通のねらいに迫っていくうえでも大切なことである。非を非として見逃がさず、内面に迫る厳しさと一慣性をもった指導を心掛ける必要がある。

 

(2) 連携による指導

 

1)学校間の連携

学校間の連携については、中学校間の横の連携と小学校と中学校、中学校と高等学校などの縦の連携がある。問題行動の早期発見、早期指導のためには縦の連携が重要である。中学校での非行の素地はすでに小学校からあったり、中学校の非行グループがそのまま高等学校に持ち越されたりしている場合がある。このようなことから同一地域の小・中・高等学校が相互に連携して、一貫性のある指導を進めると効果が上がる。連携に当たっては、その地域の共通問題を明らかにし、定期的に情報交換や事例研究などを行っていくようにする。

2)家庭との連携

問題行動はむしろ校外の学校管理外で起こることが多い。しかし、学校として問題兆候を早期に見ぬいて対応していれば防げる部分も大きいので学校の責任も重い。特に指導の必要な児童生徒の親との接触が必要である。教師が生徒指導のためにどの程度まで家庭の問題にかかわれるか限度もあるが、児童生徒の保護・監督能力に欠けた親に対しては、誠意をもって働きかける努力がいる。学校に親を呼んで話をすることも必要だが、むしろ教師の方で出向くことによって理解が得ちれることが多い。

3)地域社会との連携

地域社会の教育機能の低下は非行の増加と関係があるといわれる。学校としても地域の諸団体との連携を密にし、非行の防止、地域の環境の浄化などに努める必要がある。特に青少年の健全育成については、地域社会の健全育成団体と日ごろから連携を取り合って、学校としても可能な限り協力する必要がある。また、これらの団体などが行う健全育成のための活動について一層理解を深め、児童生徒を参加させる努力も大切である。さらに、これからの教師に望まれることは、できるだけ地域の諸活動に参加し、地域社会の人々を積極的に啓発していくことである。

4)関係機関との連携

関係機関との連携は必ずしも望ましい形で進められているとはいえない。それは、関係機関の組織や機能に関する理解が不十分なことにもよる。最近の非行の現況を厳しく受け止め、指導の時期を失しないようにするため、関係機関との連携により適切な指導・援助を進めることが大切である。

 

次に紹介するのは、生徒指導推進研究校の指定を受け、昨年度研究発表を行った学校の研究内容である。各学校の実践の参考にしていただければ幸いである。

 

《実践研究1》

一人一人が望ましい人間関係をはぐくむ態度を育てる生徒指導

いわき市立久之浜中学校

 

一、生徒の実態

 

本校生徒の実態をみたとき、常に自分は自分、人は人であるとの自我意識が強く、自己主張に積極生を示す反面、自分に責任をもつことが少なく、何事も投げやりであって、いわば「人間不信」の行動が多い。諸調査を通して内面的な動きについて分析した結果、生徒の社会性及び道徳性に欠ける点がみられ、人間的なかかわり合いを粗末にしているという実態が浮き彫りにされてきた。

自らのよりどころとなる価値観をもたないままに成長するため、生徒の中には、単に現実の認識だけに終始し、むしろ相手の立場を否定することによ

 

 

 


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