教育福島0101号(1985年(S60)06月)-030page
る学校で、生徒も保護者も進学に関することが最大の関心事となっている。
このような学校生活の中で、最近特に校舎内外の清掃美化が十分でないことや校内の施設・設備の利用の態度に問題のあることが指摘されていた。
知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目ざした本校の教育目標を達成するために、保護者の協力を得ながら全教職員の協力のもとに努力している。
このような状況のもとで、五十八年度の研究主題を「公共施設に対する公徳心の高揚を図るための勤労活動をどのように進めたらよいか」と設定した。
一、第一年次の研究実践の概要
初年度の研究推進の内容については本誌の昨年七月号に紹介したが、おおむね次のようなものであった。
(一)意識と実態の調査
校内において研究実践の基本方針を検討し、研究推進のための資料として公徳心や勤労観について質問紙法による調査を行い、その結果に考察を加えた。
(二) ホームルームでの主な実践
ロングホームルームで、公徳心を共通主題にした話し合いと討論を実施した。また、ロングホームルームを二時間まとめてとり、校外の公共施設の環境美化奉仕活動や音響関係の電機メーカーの工場見学を実施した。
(三) 学校行事における主な実践
月末、学期末の放課後、全校生徒による校舎内外の清掃と環境美化を行った。奉仕活動を通して勤労を体験するために、いわき養護学校の校舎内外の清掃を、一学年を二班に分けて、夏季・冬季休業の第一日に実施した。
二、第二年次の研究実践の概要
初年度一年生を中心にロングホームルームのまとめどり、学校行事等に位置づけた奉仕活動、職場見学等を、実施し、学年、時間、場所、方法等を検討し、実践に移した。その実践の過程で何にもまして生徒に体験させることが大切である、との認識を一層深めた。
前年度の反省にもとづき、研究主題を次のように改めた。また学習実践小委員会と学習計画整理小委員会を設けて、研究組織を充実し、学習実践小委員会の中で十分に話し合い、各学年の連携を図り、校内・校外における勤労体験学習に全生徒を参加させることをねらいとした。研究主題は「公徳、心を養い、勤労に対する理解を深めるための勤労体験学習をどのように進めたらよいか」とした。次に実践内容を具体的に紹介する。
(一) 高校生らしい公徳心を養うための実践 .
1)公衆の場での正しい振舞い。
社会の一員として社会環境浄化活動の大切さを認識させ、積極的に参加して勤労の尊さと喜びを体験させるために、事前にホームルームで話し合い、意義の確認をしたうえで、遠足や修学旅行などでの後かたづけを実践した。
2)交通安全のための歩行と自転車の運転。
交通安全に対する正しい認識と実践を目ざしてロングホームルームで、「交通安全のための歩行と自転車の運転」を共通主題として取り上げ実施した。
3)身体の不自由な人々に対するいたわり。
身体の不自由な人々を自己とのかかわりのなかでとらえさせ、ロングホームルームでの話し合いと奉仕活動を実施した。
4)規律を守るため、相互に戒める心がまえ。
明るい社会を作るルールを守るためには、各個人の自覚が大切であることから、ロングホームルームでの話し合いや奉仕活動の実践を通して自律的自己形成を目ざした。
(二)勤労に対する理解を深めさせるための実践。
1)校舎内外の環境整備・美化。
駅から学校までの通学路や近くの松ケ岡公園、公共施設等の環境整備・美化の体験学習を行った。
2)地域社会に対する奉仕活動。
いわき養護学校の校舎内外の清掃等、一学年を二班に、分け、夏季・冬季休業の第一日に実施した。
3)各種職場の見学。
前年に引き続き、二学年がロングホームルーム二時間のまとめどりをして、市内のステンレス機器メーカーの工場見学を行った。
4)ホームルーム、各クラブでの制作活動。
勤労体験学習にかかわる、ホームルーム、生徒会等でのVTRを制作し、意識の深まりと定着を目ざした。
日常における清掃、校舎内をきれいにする週間の設定、美化活動の場を学校生活から校外生活、さらに公共施設に拡大しながら多様な実践活動を実施した。生徒会美化委員の活動、ロングホームルーム時間のまとめどりによる活動、長期休業時における清掃奉仕等着々と実行に移し、それぞれに成果を
▲清掃奉仕活動に励む生徒達(磐城高校)