教育福島0101号(1985年(S60)06月)-031page

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見ることができたのである。

勤労には苦痛と汗がともなうものである。しかし、実践の確認と生徒の意識の変容を見るべく、提出させた生徒の感想文等によれば、異口同音に満足感と充実感を述べ、さらに公徳心や協調性の必要性にめざめた、と記されていたことは、大きな収穫であった。

特に、社会参加活動は、実践による体験を重視してこそ意義があると思われる。奉仕活動のような、生徒の情操、徳性をはぐくむ活動は、その実践を学校や学級で評価し、励まし、点から線、そして面へと拡大していくことが大切であると思われる。

また、企業の現場を見学することによって、勤労の意義を理解し、まじめな職業観が芽生えたこと、職業の社会的責任の重要性を認識することができたことも効果の一つとして特筆されるものであり、生徒の進路意識を深めるものであった。

 

三、実践の成果と今後の課題

 

校内の共通理解の深化、普通科高校における活動場面設定の創意工夫、生徒の意識の変容などをあげることができる。しかし、学習指導要領には「地域や学校の実態に応じて、勤労にかかわる体験的学習の指導を適切に行うようにし」とあるが、本校で試み実践したことが、一面において成果をあげ得たとしても、生徒の意識や理解と実践面との間にはまだまだへだたりがあり、その指導や方法に検討を加え今後も継続して実践していく方向性を打ち出す必要があろう。

今後、更に反省・検討を加えて、二年間だけの研究実践に終らせることなく、その意識の変容が学力の向上や学校生活の目的意識の高揚にも作用するように努力していくことが必要であると考える。

 

生き生きとしたホームルームの進め方

−相馬高等学校

 

一、本校の現状と研究主題

 

本校は、一学年が、普通科四学級、理数科一学級の中規模校である。地理的には、山海の両面に恵まれた人口約四万の城下町にあり、近年地域の開発に伴い、保護者の職業に大きな変化が見られ一方では、高校進学率の上昇により、生徒の資質や学力にも従来にない変化が生じている。

理数科の生徒は、全員進学を希望し合格率も高いが、普通科の生徒は年々就職希望者が増加し、現在約四〇〜五〇パーセントを占めている。生徒の気質は、概して素朴純真であるが、他地域との接触や、刺激が少ないので、これが高校全入に近い実態とあいまって次のような問題に直面している。

(一) 目的意識の明確でない志願者が増加し、入学後も、学校生活に意義を見い出せず無気力、無関心に過ごしている。

(二) 日常の生活態度が安易であり、基本的生活習慣が身についていないことから、遅刻、早退をくり返し、服装や頭髪のみだれ等の目立つ生徒が増加している。

このような生徒の増加している現状を認識し、生徒に自主性を育て、積極的、意欲的に、学習やその他の活動に取り組ませることができ、多くの生徒に、充実した学校生活を送らせることができるか、を求めて、次のような研究主題のもとに研究に取り組んでいる。

 

研究主題

「高校生活を充実させるための、ホームルームの研究」

 

一、研究組識

 

全教職員が一丸となって、研究実践に取り組むことを基本として、1次のように組織した。 (表1)

 

二、研究内容および方法

 

(一)研究内容

研究主題を追求するために、1四つの研究項目を設定し、前記各研究班が分担し研究を進めることとした。

○第一研究班

「シートホームルーム・ロングホームルトムの進め方」

○第二研究班

「ホームルームにおける自主的活動の進め方」

○第三研究班

「教師と生徒の相互理解をはかりつつ、生徒の目的意識や学習意欲を育てるのにはどうすればよいか」

(二)研究方法

本校の現状を把握するため、各部、各教科で、問題点を抽出するとともに、生徒および教職員の意識調査を実施した。

それらの結果を分折検討、貝体的な

 

表1研究組織

表1研究組織

 

 

 


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