教育福島0101号(1985年(S60)06月)-040page
研究実践
レポート
おくれがちな子への指導をどうすすめるか
安達郡白沢村立白岩小学校
共同研究(代表・校長)武田昭二
−解説−
本論文は、五十九年度教職員研究論文入選作です。白沢村の白岩小学校の共同研究によるもので、論題は『一斉指導の中における学習のおくれがちな子への指導をどうすすめるか。−「A・数と計算」領域を中心として』−。全職員が一体となった研究です。
一、主題設定の理由
児童が生き生きとした学校生活を送る最大の要因は、授業において達成感や満足感を味わわせることにある。
そこで、一斉指導の中でおくれがちな子の実態をとらえ、個々の児童のつまずきに即したはたらきかけを工夫して指導にあたれば子どもたちは意欲的に授業に取り組むことになると考えた、
そこで、本校では、算数科のA領域、「数と計算」を研究の対象として指導法の研究を進めた。その理由は、
(1)小、中、高校と縦のつながりを持った教科であり、前学年の内容の理解の程度が次の学年の学習内容の習得を大きく左右する教科である。
(2) A領域は系統生が特に強く、段階的な学習が要求される。
(3) A領域は、算数のベースとなり特に重要な領域である。
二、研究仮説
単元構造表(資料1)をもとに児童のつまずきを見つけて、おくれがちな子に対する手だてを工夫すれば、学習内容の理解が深まるであろう。
作業仮説
(1) 本単元に入る前に単元構造表をもとに、既習事項のどこにつまづいているかを見つけ、指導の手立てを考える。
(2) 一斉指導においておくれがちな子の活動を意識した授業を組織する。
(3) 形成的評価をもとに追指導を強化し、学習の定着を図る。
三、研究の計画
(1) 児童のつまづきを見つけるために
1)前学年までの学習内容を系統的にとらえ、一単元ごとに単元構造表を作成する。
2)各学年のA領域の全単元の毎時間ごとに、到達度評価問題を作成する。
3)1)、2)をもとに、レディネス調査事前調査を実施する。
(2) おくれがちな子の活動を意識した授業を組織するために
1)指導案に、おくれがちな子の実態と手だてを明記する。
2)活動場面を工夫する。
(3) 学習の定着を図るために
1)S−P表により、児童の実態や出題内容を調べる。
2)字習効果性指標により、児童の伸びを調べる。
3)追指導を実施する。
四、実践例
「小数のわり算」 (五年三十一名)
(1) おくれがちな子の選出
次の条件に当てはまる七名を選んだ。
1)知能テストの結果、知能偏差値が三の段の児童
2)新成就値がマイナスの児童
資料1 小数のわり算単元構造表(総時数13時間) (一部省略)