教育福島0101号(1985年(S60)06月)-043page
標具現にかかわる諸計画とか実践活動の実態を調査分析し、教育目標にかかわる問題点を追求する。
2)調査の対象
県内の小・中・高校を学校規模別に分類し、各教育事務所管内ごとにその約二〇%の教諭を抽出し、小学校三四〇名、中学校一四二名、高校一一〇名合計五九二名を調査対象者とした。
3)調査の内容
教育目標に対する教師の意識を探る問題及び、教育課程の編成・実施過程における教育目標との関連の持たせ方、更に、教育目標の達成評価にかかわる問題を、小・中学校対象二十三問、高校対象八問作成した。
4)調査の結果と考察
アンケート調査は回収率百%で進められたが、その結果からおよそ次のようなことがまとめられた。
○教師の主体性に関して
● 教育目標の必要性は認めているものの、教育目標が全ての教育活動の指標であり、学校経営の根幹をなす、という意識はうすい。
● 教育目標設定に当たって、自校の学校課題をとらえることの重要性に対する意識がうすい。
● 学年・学級の目標及び道徳、特別活動の目標に教育目標を具体化しようとする意識は強いが、実際の構えば極めて弱い。
○ 教育目標の地域性に関して
● 教育目標設定の際に行う諸実態把握には、不十分さが目立つ。
● 実態をより的確に把握するための方法を改善する意欲に乏しい。
○ 教育目標の構造性に関して
● 教育目標の学年・学級目標への具体化は、かなり図られており、道徳、特別活動についても関連を図ろうとする努力がみられる。
● 教育目標の各教科目標への関連づけは、ほとんど図られていない。
○ 教育目標の循環性に関して
● 教育目標について、十分検討しているというのは、小・中・高校とも非常に少ない。
● 教育目標の達成評価は、学年末などに各校とも行っているが、教師の"勘"に頼る評価が多く信頼度が低い。したがって評価の結果が真に教育目標に生かされているとは言い難い。
以上のような調査結果を見ても、教育目標に対する教師の意識の変革と共に、各学校に対して、教育目標具体化の方策を提示することの必要性を強く感ずるのである。
四、第二年次の研究
第一年次研究の結果をもとに、研究協力校の協力を得ながら、学校の教育目標を学校の全ての教育活動に具体化するための事例を作成することを、主なねらいとしている。
事例の内容は資料1の通りである。
五、おわりに
学校の教育目標を抜きにしての教育活動は有り得ない。
その意味で、教育目標を日常の教育活動の中にどう具体化するかということは、今後各学校で真剣に取り組まなければならない最重要課題である。
資料1 研究事例
1)学校の教育目標検討例(御舘小)
2)教育課程の編成に当たり、学年・学級目標に学校の教育目標を関連づけた例(福島二小)
3)教育課程の編成に当たり、各教科目標に学校の教育目標を関連づけた例(南郷一小)
4)教育課程の編成に当たり、道徳の目標に学校教育目標を関連づけた例(植田小)
5)教育課程の編成に当たり、学校行事の目標に学校の教育目標を関連づけた例(小田川小)
6)教育課程の編成に当たり、児童活動の目標に学校の教育目標を関連づけた例(高久小)
7)教育課程の編成に当たり、学級指導の目標に学校の教育目標を関連づけた例(楢原小)
8)校内研修の内容に学校の教育目標を関連づけた例(大野小)
9)教科の指導計画に、学校の教育目標を関連づけた例(棚倉小)
10)教科、道徳の授業に、学校の教育目標を関連づけた例(浅川小)
11)特別活動の指導に、学校の教育目標を関連づけた例(城北小)
12)学校の教育目標の達成度を評価した例(慶徳小)
13)学校の教育目標の理解を図る手だての工夫例(楢葉北小)
14)生徒指導の計画に学校の教育目標を関連づけた例(針道小)
図1 調査結果の例
(主体性に関して)自校の問題点把握に対する意識
(地域性に関して)自校の学校課題のとらえ方
(構造性に関して)学校の教育目標の指導計画への関連づけ
(循環性に関して)教育目標の検討についての教師の意識