教育福島0102号(1985年(S60)07月)-016page

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制の精神薄弱養護学校を設置する問題についても、併せて検討をしていく必要がある。

 

2、学校教育上の問題

 

(1) 障害の種類・程度に対応した教育内容・方法の研究と開発

障害児の障害の種類や程度は、きわめて多種多様である。したがって、障害児の能力を可能な限り伸ばすためには、個人ごとに障害の程度や家庭環境、生育歴等を適確に把握するとともに、一人一人の障害の特性に応じた指導目標や指導方法が、日々の教育活動の中で確立され、子供の健康状態や心理状態を十分配慮したうえで、適切に実践されなければならない。そのためにはまず直接教育活動に携わる教職員自身が、日常の自己研修や集団研修に意欲的に取組み、各自の専門的な資質と指導力の向上に努める必要がある。

県教育委員会としても、従前から実施してきた養護教育担当教員研修会をはじめ、障害別学習指導法講習会、教育課程研究集会、教育課程編成管理講集会、更には特殊教育総合研究所や関係大学への研究派遣や内地留学など、研修機会の一層の充実と、内容の改善に努めていきたい。

また、特殊教育実験校、重度・重複障害教育研究校等、国・県指定の研究学校と協力して、教育内容・方法の研究、開発に取り組み、その成果が、関係諸学校での教育活動に波及するよう十分な方策を講じていく必要がある。

なお、重度・重複障害児の就学が軌道に乗り、盲・聾・養護学校とも、重度・重複の障害をもった児童・生徒が増加している現状から、特に未開発の領域が多いこの分野での教育内容や方法について、研究を積み重ね開発を推進する必要がある。その場合には、医療機関や福祉機関と緊密な連携をとったうえで、計画・検討・研究を進めなければならないが、そういった面でも養護教育センターの研究機能の活用が期待される。

(2) 自立のための職業教育の充実と就職分野の開拓

障害児教育の究極の目標は、人格の形成と同時に、可能な限り、生きていくための職業を身につけさせ、社会的に自立できるようにすることである。そのためには、障害の種類や程度並びに障害児一人一人の個性に見合った職業適性を発見し、その育成訓練と、就職分野の開拓とが必要である。

それを具現化する方策としては、教育・福祉の両機関が、密接な連携のうえで、職業能力開発のための各種養成機関の協力を得ることと、授産施設の充実並びに各種企業の理解と協力を得ることが必要である。

なお、この問題の解決は、障害児教育をめぐる数多くの問題の中でも、最も重要な課題の一つである。

(3) 心身障害児理解のための交流教育の推進

障害者が社会で生きていくためには障害を克服し、社会に参加する能力や態度を身につけるとともに、一般の人々が、障害者や障害児教育に正しい理解と認識をもって、適切な協力をすることが大切である。

そのために、県教育委員会では、昭和五十四年度の養護学校の義務制施行以来、毎年養護教育交流推進事業を実施してきた。これは、国の心身障害児理解推進校指定事業とともに、小・中学校の健常児が、障害児に対する正しい理解と認識を深め、共に手をとり合って生きていくための教育の場として更に一層の充実を図っていくようにしたい。

 

バレーボールの練習(盲学校)

バレーボールの練習(盲学校)

 

三、養護教育諸学校・特殊学級の教育

 

(1) 心身障害児とハンディキャップ

一般に心身障害児は、様々な原因によって、思考・言語・情緒などの精神作用の面で、あるいは手や足、目や耳などの身体面で、なんらかのハンディキャップを負っている。

このような心身障害児には、目が見えない子ども、精神発達に遅れのある子ども、手足や体の働きがうまくいかない子ども、慢性の病気にかかっている子どもや体が弱く病気にかかりやすい子ども、言語になんらかの不自由がある子ども、情緒が不安定な子ども、また、障害が重複している子どもなど様々な子どもたちがいる。心身障害は日常生活や学習において何らかの不自由な状態にあるので、これらの改善又は克服を図るために、教育、医療、福祉等様々な面からの配慮が必要である。特に、教育においては、心身障害児の障害の種類や程度に応じて特別な配慮のもとに手厚い教育を行い、可能な限りその能力の向上を図るための努力が必要である。

(2) 養護教育諸学校の概要と指導上の配慮

●盲学校

盲学校においては、盲児と強度の弱視児等が在学しており、小学校、中学校及び高等学校等に準じた教育が行われている。また、高等部(専攻科を含

 

 

 


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