教育福島0102号(1985年(S60)07月)-034page

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研究実践

レポート

わかる授業の実践

県立東白川農商高等学校

 

−解説−

本論文は、県教委の学習指導法に関する研究指定を受けたものです。研究主題は「生徒の実態に応じたわかる授業の実践」で、多様化している生徒の実態を適確にとらえて分析し、わかる授業を組みたてようとする意欲が高く評価されています。

 

一、はじめに

 

本校は全日制課程の農業科(農林科三クラス・食品加工科三クラス)・商業科(商業科九クラス)・家庭科(家政科三クラス)からなる職業高校である。

「魅力ある産業人の育成」を教育目標として掲げ、地域社会との連携をはかりながら努力をつづけてきた。

しかし、過疎化現象のなかで、多様化した生徒が入学する現状から、学習指導・生徒指導上、次のようないくつかの問題点をかかえている。

(一)一部学科の生徒の大幅な定員割れ

(二)生徒の基礎学力の不足

(三)生徒間の学力差の拡大

(四)基本的生活習慣の欠如

(五)目的意識の希薄さ

 

二、研究主題の設定

 

このような現状をふまえ、本校の教育目標を達成させるため、昭和五十八・五十九年度の二か年をかけて、「生徒の実態に応じたわかる授業の実践」を研究主題として設定し、十教科にわたり、次の観点から学習指導の研究に取り組んできた。

(一)生徒の実態に合った教材の精選は十分になされているか。

(二)教材の構造化は正しいか。

(三)生徒の学力の実態を正しくとらえた学習指導がなされているか。

 

(図1)研究組織

(図2)学校に教科書を置いていくことがあるか。

 

(図2)学校に教科書を置いていくことがあるか。

を自宅へ持ち帰る習慣がない。予習・復習はほとんど期待できないといえよう。

全校生徒の94.6%が教科書を自宅へ持ち帰る習慣がない。予習・復習はほとんど期待できないといえよう。

 

三、研究の手順

 

先ず(図1)のように研究組織を設けた。その中の「教科研究会」を構成する教科でそれぞれ研究する科目を定め、各科目の小テーマに沿って研究を進めた。

第一年次は、生徒の実態を正確にとらえ、教師の共通理解を深めるために次の項目について生徒実態調査を実施した。

(一)高校入学前の意識調査(十三項目)

(二)入学後の学習についての調査(三十項目)

(三)入学後の部活動・特別活動についての調査(十一項目)

(四)学校生活・家庭生活などの調査(十七項目)

(五)卒業後についての調査(六項目)

以上の五つの調査の他に入学者全員について、入学者選抜学力検査の総得点と五教科それぞれの得点分布の状況を各小学科ごとに調査分析した。

 

四、生徒実態調査の結果と考察

 

調査全項目について集計し分析したもののなかから、特に目立った点などを次に紹介する。

(一) 「学校に教科書を置いていくことがあるか」 (図2) 「教科書を学校に毎日置いていく」・「時々置いていく」の両者を合わせると九〇%以上にも達し、「学習時間も三十分以内」

 

 

 


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