教育福島0102号(1985年(S60)07月)-039page
れた。
3)不登校について
不登校では、欠席日数が多くなってから来所するケースが多い。それだけに改善されるまでにも日数がかかっている。
特に、中学生の場合、欠席日数の増とともに進級または卒業、進路についてどう対処したらよいか態度決定が迫られることになる。また、高校生の場合は退学の態度決定が迫られることもある。家族と同様に学校での適切な対応が望まれる。学校での適切かつ積極的な対応により、改善の方向を示した事例もあった。進、退学についてばかりでなく、学習の遅れも本人にとって深刻な問題であり、改善への対応はなかなか難しい。
4)反社会的行動について
反社会的行動については、対応に急を要することが多い。そのため、学校との連携はもちろんであるが、精神衛生センター、児童相談所、矯正機関などとの連絡をとりながら指導援助にあたるケースもみられた。
(2) 相談の推移から
1)実人数について(図1)
幼児、小学生は五十七年度が前年に比べて増加したが、ここ二年は同じように推移している。中学生は、五十七年に急激に増えたあと漸増している。高校生は、五十八年度まで増加してきたが、昨年度は減少した。
2)延人数について(表2)
小学生の増加は、不登校についての相談で、学校への適応までに時間がかかっていることを示している。中学生は、不登校については小学生と同様なことがみられるが、定期的に来所しないため長期にわたった事例もある。
高校生の相談は、実人数、延人数とも昨年度に比べて減少している。各学校での早期の取り組みがなされているものと思われ、大変良い傾向といえる。
3)電話相談の推移(表3)
電話相談は、全体に増加の傾向がみられる。特に、小、中学生の増加が目立っている。初めは親からの相談が多いが、改善されていくに従って、子どもから直接自分の行動について報告してくることが多かった。
高校生の電話相談は、昨年に比べて減少している。来所相談とともに、学校での対応のし方が適切になってきているものと思われる。
二、移動教育相談について
昨年度は、白河市、会津若松市、いわき市、原町市の四会場で、延九十六人の相談を実施した。相談内容は、不登校、知能、学業、身体、神経に関することであった。相談後の対応については、各学校に委ねた形をとっているが、継続して来所相談に応じているケースもみられた。
三、関係機関との連携について
身体・神経はもちろんであるが、その他の問題を含めて医学的な面から診断及び治療を必要とするケースもある。これらについては、医療機関特に県立医科大学の神経精神科との連携をとり対処している。それによって改善されているケースがみられる。
また、不登校や集団不適応については、学校への適応行動に向けて、特に学校との細かい連携が必要である。
学校で、適切な時期に、適切な対応がなされて改善したケースが多くなっている。
四、まとめ
全体的に対応のし方が早いほど改善も早い。学校でも早期発見、早期対応が重要である。ささいなことにも気がつく眼と、適切に対応できるゆとりとあたたかい接し方が求められている。さらに子どもと教師との信頼感に満ちた人間関係を基にして、愛情ある指導援助が望まれている。
図1 対象別(幼、小、中、高)相談の推移(実人数)
表2 対象別相談の推移(延人数)
表3 対象別電話相談件数の推移
昭和57年度は、一般、教員は対象が同一となっている。