教育福島0103号(1985年(S60)08月)-008page

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豊かな人間性をはぐくむ学校教育

−特集−

 

はじめに

 

学校教育の現状が知識の伝達に偏っている傾向を改め、「自ら考え正しく判断できる力をもつ児童生徒の育成」を目指し、昭和五十一年に改訂された教育課程の基準は、次のねらいをもつものである。

(1) 人間性豊かな児童生徒の育成

(2) ゆとりある充実した学校生活の実現

(3) 基礎的・基本的内容の重視と個性や能力に応じた指導

これらを達成するために改訂された小・中学校学習指導要領も実施以来それぞれ六年目、五年目を迎え、その趣旨がすっかり現場に定着した感がある。

昨年実施した教育課程実施状況調査結果からみると、各小・中学校とも望ましい方向に進んでいることがうかがえる。このことは、各学校の創意工夫と熱意のあらわれであり、先生方の努力を高く評価したい。

しかし内容的に、次の点で一層の充実を図るよう努める必要がある。

(1) 教育課程の基準改訂の基本方針を常に見直し、学校教育へ反映させる。

(2) 自己教育力を育成するための教育課程の改善・充実。

(3) 生徒指導の充実を志向した道徳教育、特別活動、進路指導の充実。

(4) 小学校低学年における合科的な指導と、中学校における選択教科運営の充実。

(5) 豊かな国際感覚を身につけた児童

これらを学校教育上の課題として受け止め、たゆまぬ努力を続けたい。

さらに変化の激しい現代社会は、合理化、画一化、物質中心主義、技術革新、情報化等の傾向をますます強める反面、人間的なものを失い、子どもたちの心にもさまざまなひずみを与えている。

失われつつある人間的なものを、子どもたちの中にどう回復させるかが、これからの学校教育の課題として浮上してくると考えられる。前述の課題と併せて配慮して行きたいものである。

 

1 人間性豊かな児童生徒の育成

 

人間性豊かな児童生徒を育成する上で、小・中学校指導書(教育課程一般編)では次の観点を例示している。

○ 自ら考える力を養い創造的な知性を育てること。

○ 強靭な意志力を養い自律的な精神を育てること。

○ 自然愛や人間愛を大切にする豊かな情操を養うこと。

○ 正しい勤労感を培うこと。

○ 社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的社会性を培うこと。

○ 健康でたくましい身体の鍛練に努めること。

○ 家族、郷土、祖国を愛するとともに国際社会の中で信頼と尊敬を得る日本人を育成すること。

 

 

 

 

 


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