教育福島0103号(1985年(S60)08月)-009page

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各学校においては、各教科等の目標.設定や指導内容の構成、あるいは学校教育活動すべての場において、これらの資質や徳性の涵養に特に配慮していく必要がある。

 

2 ゆとりある充実した学校生活

 

ゆとりある充実した学校生活の実現のための授業時数削減の趣旨は、在校時間を現在程度として学校の教育活動にゆとりをもてるようにするとともに地域や学校の実態に応じて学校の創意を生かした教育活動が活発に展開されることにある。

ゆとりと充実については、次のようにとらえることが大切である。

 

ア 学校生活全体における「ゆとりと充実」

学校生活全体において、子どもの子どもらしい生活を主体的に展開し、真に充実したものにする。

イ 一つのことを追求する「ゆとりと充実」

指導内容を精選・重点化し、基礎的・基本的なものにしぼって子どもの量的負担を軽くして、ゆとりをもって一つのことを追求する充実した学習ができるようにすること。

ウ 主体性確立のためのゆとりと充実

記憶する学習から、将来の力となる学び方を学ぶ学習をすること。

エ 情緒安定のためのゆとりと充実うるおいや人間性のある充実した生活ができるようにすること。

これらの考え方に基づいて、削減された時間の活用については、次の順序性を踏まえ、学校の創意工夫を十分生かしながら展開する必要がある。

1) 一単位時間を常例通りとする。

2) 学校生活全体にゆとりをもたせる。

3) 特別活動を充実する。

4) 創意を生かした教育活動の時間として活用する。

 

3 基礎的、基本的内容の重視と個性や能力に応じた指導

 

(1) 指導方法の改善に努める

児童生徒自らが意欲的な学習活動を展開するために、児童生徒の実態に即した適切な指導過程を構成したり、その活動を重視するなど、自発的な活動を通して基礎的、基本的事項が定着するよう指導方法を一層工夫、改善する必要がある。

その視点として、

ア 児童生徒の実態を調査、分析してこれらを的確に把握するとともに、小中学校の連携の上に立った教材研究を行い、学年、学期、単元、単位時間の指導目標を明確にする。

イ 児童生徒が学習のねらいをもち、自らの力で課題を解決するような指導過程の構成を工夫する。

ウ 適切な発問や助言の仕方を工夫する。

生徒の努力や優れた着想などを賞賛し、学習の成就感を味わわせる。

エ 教師の観察、評価資料、児童生徒の自己評価などを通してっまずきの実態を把握し、指導方法の工夫、改善に役立てる。

(2) 自己教育力の育成

近年、生涯教育の観点から学校教育の見直しの高まりとともに、二十一世紀を生きる児童生徒に対し、自己教育力の育成が重要視されている。

これは、昭和五十八年、中央教育審議会の「教育内容等小委員会」の審議経過報告の中でも指摘されている。

自己教育力の育成は、生涯の各時期にわたって、人間としての生き方を探求し、主体的に学ぶ意志、態度、能力等をどう身につけさせるかに関わってくる。そのためには、次のことが大切である。

○ 正しい勤労感、人生観や社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的な社会性を培う教育活動の重視。

○ 困難に立ち向かう意志、問題解決に挑む探求心、主体的に目標を設定し情報を選択活用する能力の育成。

○ 学習指導に当たっては、学習への動機づけ、成功感、成就感を大切にする「わかる授業」への努カ。

○ 問題解決的、あるいは探求的な学習訓練の重視、特別活動における実践的、体験的な学習の重視。

○ 学習の手順、手だてを明確にした学び方を学ばせる指導法の改善のための努力。

 

一、教育目標の具現化

 

学校の教育目標は、終局的には、その学校の児童生徒一人一人が、自分自身の目標としてとらえ具体的に実践したとき、初めて具現されたといえる。

したがって、学校の教育目標の具現ということは、抽象的に表現されている目標を具体化し、その具体化した目標を達成するための方策や計画をち密に立て、それを児童生徒が行動として具現し、態度化にいたるまでの過程ととらえることができる。

「教育目標は永遠に達成されない目標である」という言葉を聞くことがある。目標が漠として、高い理想を掲げているため、教師も児童生徒も達成の喜びがなく、実践意欲がわかないことに対する警告である。

教育目標を単なるスローガンに終わらせないで、児童生徒の人格の形成に直接かかわるものとするためには、それぞれの学校が目標を具体化し、具現の方策を明確にして、全職員の一致協力のもと実践することが要求される。

 

 

 


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