教育福島0103号(1985年(S60)08月)-010page

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1 教育目標の具体化

 

教育目標を具体化するということは、その意味内容を一層明確にすることである。これは、目標内容を具体的に分析し、達成が可能であり、評価し易い到達目標にすることでもある。

教育目標の具体化の過程で最も大切なことは、教職員全員が主体的、意欲的に参画し、 「何を、いつ、どんな方法で、誰が推進役で、どこまで達成させるか」を明らかにし、共通理解のもとに実践できるようにすることである。

したがって、各学校では、前年度の教育目標を踏襲する場合が多いと思われるが、その場合でも次の過程を経ることが重要である。

ア 教育目標が、どのような背景のもとに設定され、法規、県や市町村の目標、児童生徒の実態、親や教師の願い等の関係がどのようになっているかを確認し目標設定の経過を明確にとらえる。

イ 教育目標の分析内容を点検し、整理し、構造化して、更に一層の具体化を図る。

ウ 前年度の反省事項、児童生徒の実態を考慮して、本年度の重点目標を設定する。

エ 達成度を評価可能な具体的目標とし、達成のための組織、計画、.方法を明らかにする。

(1) 学年・学級目標への具体化

1) 学年目標

学年目標は、学年の発達段階や教育課題に即して、学校の教育目標を具体化し、その到達すべき指標を明らかにしたものである。

学年目標は、学年を担任する教師が共通の構えをもって、学年経営の推進に努める目標であり、学級目標を設定する際の方向づけをするものである。

その設定には、次の点に留意したい。

ア 教育目標の内容を的確にとらえ、児童生徒の発達段階や実態に応じた具体的内容とする。

イ 目標を日常生活のどのような場で達成させるか、その指導の場と機会を明らかにする。

ウ 目標が学年の段階で、どの程度達成できるか、目標値が高過ぎないかなどを検討する。

エ 目標のどこに重点を置くか、月、学期、学年毎に明らかにする。

オ 学年教師の役割を明確にし、目標達成のための推進と評価改善が容易に行えるようにする。

2) 学級目標

学級の目標は、その学級が目指す学級自体の目標である。学級目標が、その学級の実態や学級担任の教育観などによって、多少の違いはあるにしても、学校の教育目標、学年の目標を受けたものでなければならない。

小学校中学年以上では、学級目標設定には、児童生徒が積極的に参加し、自らの目標として設定することが望ましい。そのためには、次の方法例が参考になる。

ア 学級の実態(伸ばしたい点、改めたい点)をとらえさせる。

イ 学級目標を設定する理由や、学校・学年の目標との関連で設定することを理解させる。

ウ 学級の目標とする課題をとらえさせる。(学習、生活の両面から)

エ わかりやすく、常に意識しやすく、評価しやすい表現に工夫する。

オ 児童生徒一人一人が学級目標に対する自分自身の到達目標と到達期日を設定する。

児童生徒に到達度評価表を作成させ、自己評価させながら努力させる配慮があると目標意識が更に高められる。しかし、競争をさせる材料とのみしないことにも留意したいものである。

(2) 各教科、道徳、特別活動の目標への具体化

教育目標を教育課程の編成、実施や授業の実践にどう結びつけ、具現するかは、最も研究を深めなければならない課題である。学校の生活時間の大半を占めるこの時間に目標を達成することが最も必要とすることは、だれもが認めるところである。

もちろん、学習指導要領で示す目標の達成に努めることが、教育目標の具現につながることは確かであるが、学校の教育目標を達成する意識がなければ成果を期待できない。

したがって、自校の教育目標のどのような内容が、各教科、道徳、特別活動のどんな場で達成することができるかを検討し、意図的、計画的に指導が展開できるよう具体化する必要がある。

そのためには、次の方法が重要である。

ア 本年度の重点目標達成の視点から教育課程を編成する。

例えば、「よく働く子ども」の育成が重点であれば、特別活動の時数を増やし、勤労体験的学習を取り入れる等をすることである。

 

イ 具体化した目標を、各教科(道徳・特別活動)の単元・題材の学習活動

の中に位置づける。

例えば、指導計画に教育目標との関連で特に重視することを明記するなどである。

ウ 教育目標達成のための教科で努力することを年度当初に児童生徒と話し合い、教科目標、約束ごと等を評価表として作成するo

エ 授業案に教育目標とのかかわりを記述し、意識して実践できるようにする。

 

2 具現のための組織と体制

 

教育目標の具体化が進み、美しい表現に整理されると、ややもすると教育目標が具現されたような錯覚にとらわれ学期末評価の段階で実践すべき内容に初めて気づいたりすることが起り得

 

 

 


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