教育福島0103号(1985年(S60)08月)-044page

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研究実践

 

レポート

 

生徒の学習意欲を高める指導

福島市立松陵中学校

教諭 宍戸 賢一

(現・郡山市立湖南中学校)

 

−解説−

 

本論文は、昭和五十九年度公立幼・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文です。美術学習の指導内容からつまずきを予想し、学習意欲を高めた実践研究として、多くの示唆を与えた論文です。

 

一、研究の趣旨

 

過去に行った観点別評価の研究でうきぼりにされた問題点をいつ、どこで、どのように解決させてやるかが課題どなった。この課題である学習のつまずきは、生徒の学習に対する意欲をも消失させてしまう。そこで、観点別評価でうきぼりにされた問題点を解決してやることが、生徒の意欲向上につながると考えた。

研究の柱としては、第一に、授業に取りくむ生徒の意欲を高めること、次に、問題点を把握し解決させる手だてを与えてやることが必要であると考える。

 

二、研究の内容

 

生徒の学習意欲を高めるための研究内容としては、次のようなものがあげられる。

(1) 題材と指導内容を明確にする。

(2) 基本的な技能を身につけさせる。

 

三、研究実践の概要

 

(1) 題材と指導内容を明確にする。

教師が題材を提示したとき、しばしば生徒の間から「うわあ!面倒くさい」という声がかえってくることがある。これは題材に対するマンネリ化であり、興味関心がうすく、何をどう学習するのかということが明確でないためである。同じ題材をあつかったとしても、各単位時間の学習活動の展開は異なり、指導法も当然変わってよいはずである。一つの題材をとりあげたとき、その題材の中で、何を指導し、何を訓練させるかということが明確でないと、ただ単に、絵を描かせ、彫塑をつくらせるという授業の展開になりがちである。したがって、生徒は意欲を消失してしまうのではないかと考え、指導内容を明確におさえ、授業を展開するようにしたのである。そうすれば、生徒は、課題を把握し、学習方法を見つけると考えたからである。

資料1は、題材と指導内容をまとめた表である。

(2) 基本的な技能を身につけさせる

観点別評価でうきぼりにされた問題点の解決は、学習の手だてを与えてやることである。そのためには、基本的な技能を身につけさせてやることが必要であると考え実践した。

その具体的な実践内容は、次のとおりである。

1) 題材と関連する造形要素をまとめる。(資料2)

基本的な技能を身につけさせようとしても、一題材で身につくものではない。こうしたことから基本的造形要素をあらいだし、題材相互の関連を考えてみた。その図が資料2である。そうして、題材と題材の関連を図りながら、基本的技能、すなわち造形要素を把握させることにした。

 

資料1 題材と指導内容(一部)

 

 

 

 


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