教育福島0104号(1985年(S60)09月)-022page
○ 基礎的な学習訓練の習慣化
○ 基礎的・基本的事項の知識、技能、態度の育成
○ 個に応じた指導を大切にし、生徒が発表する機会を多くする。
○ 各教科、道徳の進路に関する単元、題材の洗い出し
(2) 各学年、学級における生徒活動の啓発的経験
(3) 生徒会活動における啓発的経験
(4) クラブ活動、部活動を通しての啓発的経験
(5) 学校行事における啓発的経験啓発的経験は学校の教育活動全体を通して積み重ねられ、将来生き抜く心や力となって培われていくのである。
進路指導として課題をもって学習や体験をさせることが大切である。
保護者研修部
1 研究のねらい
(1) 保護者としての進路指導の意義を理解する。
(2) 進路についての保護者の理解と協力を得るための連携を図り、保護者と生徒、教師の共通理解を図る。
1)保護者が進路について、意識の高揚を図り進路への援助を行う。
2)各学年に、進路指導委員会を設置して、生徒の発達段階に応じた情報の提供と、進路についての共通理解を図る。
3) 保護者が進路について、子供と一体となって考え、話し合いを深め理解し自己実現のための援助を行う。
2 研究内容と実践(概要)
(1) 保護者研修会進路指導の研究者や実践家による講演会や協議会
(2) 進路指導委員会行事
1) 親と子のつどい (一学年)
2) 立志式 (二学年)
3) 進路を考える会 (三学年)
(3) 親と子の行事
○ 夏休み親子ハイキング・球技等
(4) 保護者会と三者懇談会
(5) 「進路と生きがい」1親から子への語りつぎ− 小冊子の発行
(6) PTA広報 〈進路について〉
(7) 学級・学年だより・進路コーナー
(8) 卒業生の進路 〈追跡調査〉
四 研究成果と考察
(1) 進路指導充実のための教育課程の改善は全教師に進路指導の理念が理解され、積極的に進路指導に立ち向かう姿勢が確立した。
(2) 進路指導の全体計画・年間計画が改善され、指導内容も系統的・発展的なものとしてとらえることができた。更に発達段階と研究分野との関連が明らかになったので指導援助活動がしゃすくなった。
(3) 諸調査、検査の実施と結果の分析考察により、生徒や保護者、卒業生の意識や実態を客観的にとらえることができた。検査結果や客観的な資料が個別に整備され、事例研究、教育相談等の生徒理解の基礎資料となつた。また、生徒の問題傾向をとらえ、教育(進路)相談や事例研究を進め、相談者がかかえる悩みを解消し、「めあて」の追求活動や研究の促進に役立った。
(4) 教科の学習や生徒の諸活動の場を通して、進路指導との関連で計画的、意図的に指導援助を進めるようになつた。このことは教師・生徒の人間関係を深め、所属感や連帯感をはぐくむのに役立っている。
(5) 進路指導は、保護者の理解と協力がなければできない。研修講座と研修冊子の発行によって、保護者の進路に関する意識に変容がみられ、PTAの中に進路指導委員会が生まれた。各学年委員会が中心となり、実践活動として親と子が野外活動やレクリェーション活動で共に汗を流し、触れ合いの場ができたことは大きな成果である。
五 今後の課題
(1) 実践活動は、具体的な計画に基づく共通理解が大切である。研修時間の確保と各種資料の収集整備等の効率的な研究活動を進めなければならない。
(2) 生徒一人一人に自己を正しく見つめさせることは、授業の展開とも関連する。生徒が活動する授業が行われれば、意識は高まり充実した進路指導が期待できる。
(3) 諸調査・検査の結果をみると生徒の意識の偏りもみられる。問題点を早く的確に把握し対処しなければならない。また、生徒自身にも問題点を認識させることが必要である。そのためには、正しい情報の収集と活用の研究が大切である。
(4) 進路情報センターともいうべき、進路学習ルームが設置された。十分とはいえないが、内容が少しずつ整備されてきた。情報提供の学習ルームとして機能するよう整備し活用を図りたい。
(5) 勤労生産的な活動は進路指導との関連が深い。生きがいや生きる力を養う場としても、各種行事、生徒活動での啓発的な経験を大切にするための計画改善を進めなければならない。
(6) 進路指導の効果を高めるために評価を工夫しなければならない。進路指導は、学校の全教育活動を通じて進められるので、反省と評価資料を的確に収集し、その後に生かされなければならない。