教育福島0104号(1985年(S60)09月)-029page

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違う彼らの表情を見い出すことができました。

そして、単元終了後の意識調査では、わずかですが、事前に比べて全般的に学習態度に良い変容が見られ、学力の定着についても事後・把持テストで、上・中位の生徒に良い結果が見られるようになりました。

この研究を通して、全ての生徒が持っている「分かるようになりたい」という願望に対し、私たち教師はもっときめ細かな指導で対処していかなければならないこと、すなわち、個に応じた指導の大切なことを改めて痛感させられました。

教育現場は、学級経営、問題生徒の指導、部活動の監督などで大変多忙であり、教材研究にあてる時間が少なくなりがちなことは確かです。しかし、私たち教師の使命は、やはり授業であることを忘れてはならないと思います。授業をより充実させるためには、私たちはいろいろな工夫を試み、常に努力をする必要があります。

この研修で、研究手法とともに、教師自らが学ぶ意欲の大切さ、研修によって自分をみがくことの大切さを学ぶことができたことは、私にとって大きな収穫でした。研修で得たことを今後の教職生活に生かし、一層がんばりたいと思います。一冊にまとめられた研究報告書は、生涯私の宝物になることと思います。

(大熊町立大熊中学校教諭)

 

つれづれに夏草を刈り

蛭田光

 

かりではあるが、水田と畑を耕すようになってからのこと、つい最近である。

 

夏草を刈り払いながらこう考えた。草を刈り払うことと、教師として教壇に立つ仕事とどれほどの違いがあるのだろうかと。このように考えたのは、老父母にかわってわずかばかりではあるが、水田と畑を耕すようになってからのこと、つい最近である。

生来、野良仕事などしたこともない全くの素人百姓になった。それで種子まき、苗の移植、作付けなどは妻の分担となり、もっぱら私は耕うん機と畦畔や土手の草刈りを割りあてられた。

鎌の扱いもままならぬ私の草刈る姿を見て妻は動力刈り払い機の購入を薦めてくれた。動力刈払い機を初めて使い悪戦苦闘の末、夏草を退治したことは学級通信「波」に「野良仕事日誌」と題して連載したこともある。その学級通信も週一回発行して五年目になった。

夏草を刈り払いながらよくこんなことを考えたものです。

背丈位にも伸び放題に伸びてしまった草を刈るには倍以上の手間と時間と燃料がかかるものです。草によって背丈が違うので春のうちに刈り揃えておくと楽なものです。時期を遅らせずに一斉に刈り揃えるところが出発点です。HRの経営と同じですね。

刈り払っていくうちに、何度となくキーンと小石や空缶をはじく時もある。少しでも草の伸びを遅らせようと考えて、草の根もと深くまで刈り込もうとすると、隠れていた小石などに当ててしまいます。小石などにあてるとそれは大変です。刃先が欠けて丸くなり、切れ味が落ちます。刃先の丸くなったままではきれいに刈れません。鈍刀では大木は倒せても草は刈れません。小石に当てぬよう刈らねばなりません。それには一時に根もと深くまで刈り込むは愚挙。まず一担、三寸上を刈り払い小石を見つけて手で拾い上げて取り除くのが上策。教室内の小石も同じことですね。ていねいに小石を拾うと刃先も長持ちします。

長い時間同じ刃で刈り続けていると小石や空缶に当てなくても、刃先は磨耗し、切れ味が鈍くなります。常にヤスリで砥いでおき、刃先の鮮度を保って、夏草と対侍したいものです。草はどんどん伸びるもの。私たちも、新しさと鋭さをもって対処していかなければと自戒したいものです。

小石や空缶よりも始末の悪いものもある。ビニールの紐や麻の紐。鋭い刃先でも切れません。切れぬ上に刃にからみつき刃の回転を止めてしまうので要注意。放っておくとエンジンが加熱する。速やかにエンジンを停止して、丁寧に解きほぐすのは、感情のもつれと同様、早いほうがいいし、しこりも残らないもの。

草を刈り払う時に、最も大切なことがある。刃の種類を間違えぬことである。刈り払い機にも四枚刃、八枚刃、鋸刃などがあります。クローバなどの柔草、茅萱や薄や細竹など刈る草、刈る場所によって刃を取り替えねばならないことです。それぞれの学級学年により生えている草も違いますしね。草刈の上手な人はよく言います。私は一枚の刃で、クローバーも茅も竹も切れると自慢しますが、術に溺れて、流され、怪俄をするよりは、その時に応じて刈刃を取り替えた方がよいのではないでしようか、学校により学級により刈る草も、伸びる草も違ってきますしせめて三枚位の刃を用意して、常に砥ぎ済まされた刃で草を刈りたいものです。

こんなことを考えながら草を刈るので、仕事が遅い、ノロマだといつも妻に笑われている。

(県立遠野高等学校教諭)

 

 

 

 

 


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