教育福島0104号(1985年(S60)09月)-038page
研究実践レポート
豊かな人間性を育む進路指導
県立郡山高等学校
−解説−
本論文は、県教委の進路指導に関する研究指定を受けたものです。副題は「自分の未来像を描ける生徒の育成をめざして」で、地域や個々の生徒の意識や実態を各種調査によって分析、充実した進路指導の在り方を示したものとして評価されています。
一、学校および地域の特色
本校は昭和五十二年四月に地域住民の強い要望で、一学年六学級の普通科男子校として開校され、その後学級増により一学年八学級として現在に至っている。広い校地をもち、施設・設備も整備され、恵まれた教育環境のもとで生徒・教師・保護者が一体となって教育目標達成のため努力を続け、県中地区における普通高校の基幹校として着実な歩みを続けている。生徒の出身中学は約80%が郡山市内で、その大半が自転車通学をしている。また、生徒の進路希望は90%以上が大学への進学を希望している。創立は浅いが、地域の人々の本校によせる期待は大きく、特にPTA活動などを通して積極的な協力を得ている。
二、研究主題と主題設定の趣旨
1 研究主題
「豊かな人間性を育む進路指導の研究−自分の未来像を描ける生徒の育成をめざして−」
2 主題設定の趣旨
昭和五十二年開校以来、教育目標(学問の尊重・人格の陶冶・実践力の育成一、地域の特性、生徒の実態をふまえながら、進路指導の重点目標として「指導体制の確立」「進路指導の充実」「個別指導の徹底」の三項目を設定し、進路指導が卒業学年に偏ることなく、その発達段階に応じて生徒の夢を育て、全ての教育活動を通じて、生徒が自らの力で進路を切り拓き、そして十年後、二十年後の未来像を描いて、その実現をめざして努力する姿勢を育成すべく、鋭意努力を重ねてきた。
開校五年目にして、試行を重ねながらすすめられてきた本校の進路指導に一応の成果がみられ、地域社会の人たちの間にも、徐々に本校に対する評価が高まってきている。しかし、本校生徒の大多数が上級学校への進学を望んでいる割には、それを将来の生き方に通じる一つの過程としてとらえている生徒が少なく、進路指導実践上多くの問題を抱えていることも事実である。.
昭和五十七年度から県教育委員会の指定をうけ、三か年にわたって進路指導の研究実践をすすめるにあたり、無から出発した本校の進路指導の軌跡を、いろいろな角度から分析点検するとともに、改善すべき点は改善し、更に実践・修正を繰り返すことによって、豊かな人間性を育む進路指導の一層効果的な実践を推進し、主体的に自分の未来像を描ける生徒を育成すべく、前掲の研究主題を設定した。
三、研究方法と研究組織
1 研究方法
(1) 進路指導に対する基本的認識理解の面と、指導組織および運営の面について問題点を探る。
(2) 進路意識の発達段階や特性などを各種の調査や検査のデータによって把握する。
(3) 生徒の実態の把握に基づいて、計画の目標を設定する。
(4) 進路指導の方法について、どのようなものが活用できるか調べるとともに、本校の特質や実情にあった方法を採用する。
図1 研究組織