教育福島0104号(1985年(S60)09月)-041page

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きつづきすすめられた。「進路相談カード」による自主的相談は、卒業学年に偏ることのないよう、できるだけ低学年からの相談を呼びかけているが、相談項目をみると、まだ内容の乏しいものが多く、今後の指導方法に工夫が望まれる。

五十七年度から、生徒の実態に基づいて生徒の進路意識を向上させるべく、いろいろな試みがなされてきたが、進路学習によって入学時から生徒の進路意識がどのように変化したか、、また、将来の生活に対してどのような未来像を描くようになったかを明らかにするために「進学動機調査」を実施した。その分析結果をみると、彼らの希望進路や進学理由・志望校決定のポイント・大学進学後の生活・将来の生活イメージなどの中で、進路学習の効果が随所にみうけられる。この調査資料は、今後の本校生の進学に関しての大きな指標になったといえる。

また、生徒の進路に対する考え方や職業観などは、保護者の考え方が大きく影響すると思われるので、今年度は、保護者が子供の進路についてどのような考えを抱いているかを把握するために「保護者の進路についてのアンケート調査」を実施した。その分析結果をみると、保護者が学年PTA研修などを通して、学校の教育方針に深い理解を示していることや、学校に対する強い協力の姿勢がうかがわれる。

 

五、研究実践の成果と今後の課題

 

一人ひとりの生徒が、自分の将来に適切な見通しをもって就職先や進学先を選択し、決定することができるようにすることは大切である。そのためには、生徒が自ら十年後、二十年後の未来像を描き、それを目指して努力していけるような指導が望まれる。

こうしたねらいから、県教育委員会の研究指定をうけたのを契機として、過去五年間の各領域にわたる本校の進路指導を評価・分析することによって、生徒の個々の進路に対する意識や態度などを的確にとらえ、その実態に即した今後の進路指導のあり方や実践の仕方を求めながら、研究実践をすすめてきた。

しかし、高校進学率が極限に近い数値に達して生徒の多様化がすすむ一方、政治・経済・社会などの変遷の諸要因も相まって、すでに教育に対する変ぼうの兆しをみせ、新たな人間教育のビジョンの台頭もうかがわれるに至っている。また、学校教育は、学習指導と生活指導で十分だ、あるいは手いっぱいだとする旧来の意識が現場の底流になっていることからしても、必ずしも進路指導を「たてまえ」どおりに行うことは難しい。本校の三か年間の研究実践も、進路指導全領域からみると、まことに間口の狭いものではあるが、「たてまえ」を基本としながらも、今後も三年間の研究実践の成果をふまえ、「たてまえ」と「ほんね」の接近化、さらには同一化ができるように、進路指導の充実に努力を重ねていきたい。

 

研究実践レポート

 

図4 進路相談カード

図5 対生徒・保護者の関連図

 

図5 対生徒・保護者の関連図

 

 

 

 


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