教育福島0105号(1985年(S60)10月)-021page

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心にしたことは、楽しさの中でお互いに名前を覚え、体を触れ合ったりすることから親しさが増し、自由な形での交流に結びついた。

2)「運動会」交流は、養護学校の配慮で「行進」から「開会式」「他校生競争」「会津磐梯山」と参加でき本校児童にとり楽しく心に残る交流になった。障害児が力いっぱい走ったり演技する姿は、健常児にとってよい体験となり、友達を理解するのに大変役立ったように思う。

3)「水遊び」交流は、体で触れ合い裸でつき合えるよい交流であるが、本年度は時間的に余裕がなかった。遊びを工夫すれば、もっと深まりのある交流になったと思われる。

4)「たなばた祭り」の交流では、養護学校の児童・生徒の作業能力などが本校児童によく理解でき、その後の接し方に大きな影響を与えた。また、友達にどんなことをしてやれるか、思いやる気持ちを育てるのに役立った。たなばた祭りの全体集会では、自分達のグループ以外の様子がわかり、今までと違った面での理解が深まった。

5)「作って遊ぼう」交流では、各学級ごとに作るものを工夫して取り組んだ。計画の段階では、どの程度作れるものか不安があったが、大変興味を持って取り組んだものが多く、養護学校の生徒が驚くほどがんばる姿が見られた。また、どんなものを作るか、どんなことをさせるか、児童生徒の実態をよく把握し準備することの必要性がわかった。そして、作ったもので遊ぶところでは、今までになく仲よく、楽しく遊ぶ姿が見られ、遊びを交流の中核にしなければならないことを再確認した。

(2)交流の事前、事後の指導

1)交流の事前、事後の指導を学級指導の中で実施した。事前指導では養護学校の児童・生徒に対する心の持ち方や接し方について十分指導し事後指導では、交流の反省を話し合ったり感想等の記録を残すことに心がけ、次の交流のステップとした。

2)児童の自主的な活動を大切にし意欲的に交流活動ができるように計画や準備などを学級会活動の中で進めた。

3)交流実践は主に「ゆとりの時間」を活用したが、交流の様子を絵や詩感想文などに書いたり、ゲーム、ダンス、歌の練習をしたりすることは関連教科の中で行った。

(3)交流活動の実践例

「たなばた祭り」交流

(省略)

 

三、研究の成果

 

(1)児童の変容

「せんせい。またあえるの。こんどいつあえるの。もっといっしょにあそびたかったな」これは一年生の交流後の感想である。入学して間もない五月に養護学校と初めて交流した時、 「先生こわいよ」と担任の体にしがみついた姿からは考えられないことである。何回かの交流を通して、一年生もこのように変容してきた。

校内生活においても学校行事、学習作業などで意欲的に協力し合って、物事をなしとげようとする本校児童の姿が見られるようになってきた。

このような変容は学年、個人によって程度の差はあるが、交流活動を実施したどの学年にも見られるようになってきた。○【低学年】 「こわい」「びっくり」のような不安、緊張の気持ちがなくなり、「いつくるの」「いっしょに遊んだよ」のように親しみの気持ちに変った。たなばた祭りでは、「教えてあげた」「いっしょに作った」「楽しかったよ」となり、養護学校の児童であるという意識をもたないで、一緒に遊べるようになってきた。○【中学年】 「おいかけられるのがこわかった」が「なかよくしたい。教えてやりたい」のように、思いやりの心が見られるようになった。また、養護学校の友達が真剣に取り組む姿を見て交流活動の中で、いろいろな心配りができるようになった。○【高学年】 はじめ一人に片寄った接し方だったが、一緒に遊んでいくうちに心のつながりができ、回を重ねるに従い養護学校の友達に対する

 

表2 交流教育推進の構想

表2 交流教育推進の構想

 

 

 


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