教育福島0105号(1985年(S60)10月)-024page

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そこで、公民館の諸行事や学習会及び集会等に積極的に出席し、巾広い人間関係を持つことに努めた。はじめは気はずかしいこともあったが、回を重ねるたびに新しい体験が楽しくなった。

そのうちに、友人のさそいで地域婦人会の仲間入りができた。そして敬老会のお手伝いや、雪まつりの行事に参加させていただいたりしているうちに先輩や、関係者の方々から婦人教育指導員についてのはなしがあった。再三辞退したが説得され、考えを新たにして引き受けた訳である。

 

さて、四月第一回目の研修会で県、郡の社会教育の基本方針、重点施策等についての説明を聞く。相次いで県婦人団体連合会定期総会指導員研修、婦人のつどい、国内研修大会や研究会への参加が求められ、未知のことが多くとまどった。しかし、一年目の目標を「自己研修」と決め積極的に参加した。そして次第に今までにない充実感が心を満たすようになってきた。

 

ある日、ふと近隣に目をもどした時元気な子どもたちの群はなく、共働き家庭、老人の農夫姿、杖を片手に必死で機能訓練をしている人々の姿に気がついた。あたかも現代社会の縮図をかいま見る思いがした。こうした現状だからこそ地域婦人会の活性化が叫ばれ、会員の増強も言われているのであろう。

一方、国連婦人の十年を契機として女性の地位や福祉の向上を目ざして努力し、その成果として女性に閉ざされていた諸々の道が開けてきた。しかし、いくら法制上の改革がなされても、女性の意識の向上がなければ真の社会の進展はあり得ないだろう。また、日本の女性は今日世界一の長寿の時代をむかえたが、この現象は喜びである反面、今後いっそう女性問題について真剣にとりくまなければならないことを意味していると思う。

この多様化された社会の中で心豊かに健康で生きぬくために、歩みは遅くとも仲間と共に意義ある歩みを一歩一歩進めて行きたいと考えるこの頃である。

(只見町在住・福島県婦人教育指導員)

 

学習訓練の大切さ

村井敬徳

 

とで多少の新鮮さを感じさせても不安の方が大きいのではないかと考えます。

 

学校というところは、たとえ新採用の教師であろうと、三十年のベテランの教師であろうと同じように一つのクラスを持って、同じ仕事をしていくところです。この点は、ある意味で魅力のあるところですが、新任教師に子どもを預ける父兄にとっては、若いということで多少の新鮮さを感じさせても不安の方が大きいのではないかと考えます。

事実、私自身、小学校の教育に関しては、大学で本を少しかじった程度の知識と短期間の実習のみで、実践がゼロに近いわけですから全く知らない世界に突入していったようなものです。

とにもかくにも、四月に三年生を担任し、なんとか無事に一学期を終了しましたが、今改めて振りかえってみると、仕事に追われ、忙しかった毎日の生活の中で、子どもの姿から発見し、先輩の先生から学んだことがたくさんあったと感じています。

その中で強く感じたことの一つが、授業を行う際の子どもに身につけさせる学習訓練の重要性でした。というのは、教師になる前の私は、教師にとっての理想の授業を考えるとき、いかに充実した授業を行うかということで、その授業内容の研究しか頭にありませんでした。しかし、自分で実際にクラスを持ち、授業を行ってみると、いくら深く教材研究をしてみても、三十六人を相手とする授業の中では、自分が意図した学習活動を展開することがなかなかできないという悩みにぶつかりました。反応はすぐ返ってきて、発表もよくする子どももいて、一見活気のあるような授業ではあったのですが、全体をみつめてみるとバラバラな感じをいつも持っていました。

ちょうどそんな時、授業研究で先輩の授業を見せていただきました。その中で、子ども一人一人が授業の受け方、つまり学習訓練ができていて、それによって授業がまとまり、児童中心に展開されている様子を目のあたりにし、自分の捜していたものを見つけたような気になりました。自分の授業を少しでも充実させるにはまずこれを身につけさせなければならないと考えました。以来、自分のクラスでも、話の聞き方や、発表のしかたなどの学習訓練を毎時間、くり返し重点的に指導してきました。授業の進度が遅れるのが気にもなりましたが、そのことに全力を傾けた三子期だったように思います。そして、ようやく子どもたちにもそれが少しずつ身についてきたように思います。その影響は、授業の時ばかりでなく、給食や清掃にまで良い影響を及ぼしていったように思います。

今述べてきたような学習訓練に限らず、教師になってわずかな時間しかたっていない私にとって、毎日の学校生活でおこるさまざまなできごとが自分の血や肉となっていくような気がしています。子どもが好きでこの道を選んだ以上は、その子どもたちのために一番よい教師になるために若さでがんばりたいと考えています。

(富岡町立富岡第一小学校教諭)

 

 

 


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