教育福島0105号(1985年(S60)10月)-037page
本県教育の現状と課題を聴く
本年度最後の教育広聴会が終了
去る九月二十五日、午後一時より、浪江町のいこいの村「なみえ」において県教育委員会の広聴事業の一つである第三回教育広聴会が開かれました。
この広聴会は、県民の各界各層の方々より、本県教育行政について御意見御提言をいただこうとするもので、今回のテーマは、
本県教育の現状と課題を聴く
−−本県の教育をめぐる環境や問題点及び教育行政上の課題等について、教育界の先輩に聴く−−
というもので、相双教育事務所管内の双葉地区在住の教育関係の現職、先輩の方々を招いて開かれました。
《第三回相双地区教育広聴会の概要》
一、意見発表者と意見の概要
・吉田 感氏(元原町一中校長)
体育・スポーツの振興について、派遣社教主事(スポーツ担当)の増員や体育指導員の指導力の充実に力を入れるべきこと、特に教員採用においても指導者の確保、人材の育成という観点が望まれる等の御提言を述べられた。
・阿部隆氏(元浪江小学校長)
教職員の修養と資質の向上が現在不可欠の行政課題であるとして、教師自身の生活の修養が大切なこと、思いきった人事が必要なこと等のほか、教育長経験者としての悩み1財政や錯相する事務1について御意見を述べられた。
・矢澤一氏(元浪江中学校長)
教育界に有能な人材の確保をの視点のもと、小・中学生の優秀な児童生徒が大学卒後教員になっていない、もっと子どもたちを教育界へ引き寄せる努力が必要ではないか。また、採用試験を工夫してほしい、現場をよく把握した人事異動が必要なこと等の御意見を述べられた。
・太田芳一郎氏(現大熊町教育長)
町として青少年の健全育成に取り組んでいるが、非行や誘惑に負けない精神力と体力つくりが大切なこと。あるいは、少なくとも各地教委に一名の学校アドバイザーの配置を県単独事業としてでも実施してほしい等の御提言を述べられた。実り多く、活発な意見があった広聴会
・松本辿男氏(元富岡一小校長)
生涯教育の理念に立つ社会教育事業の推進をテーマに、地域にとびこむ公民館活動の推進、グループ活動への公的援助、市町村への有資格の専門職員の配置、元教職員の方々の活用等について御意見を述べられた。
・大川光三氏(天楢葉中校長)
退職教職員の社会参加を地区民は望んでいるが、なかなか参加してくれないこと、ファミリーゲートボールの普及活動を通して家族の親和を図っていること等について行政側のしっかりした手あてが必要なこと等の御提言を述べられた。・田中泰雄氏(元福島西女子高校長)
現代の教育問題に思うとして特に我が国の国語改革に関して意見を述べられ、教育現場や官公署ではしつかりした国語(言語)を使用してほしいことの他、人間性を高める指導等について御意見を述べられた。
・鎌田 正氏(元福島商業高校長)
高等学校教育についての一私見として、いわき地区の中学浪人の問題と当地区の学区制の検討、それに関連して双葉地区高校の大学進学率の向上を図る手だて等についての御意見の他、地道に努力を続けられている一般の教員の表彰の検討、本県高校の運動クラブの強化等について御提言をなされた。
二、意見交換
発表者の御発言のあと本庁出席者と発表者の間で活発な意見の交換があり実り多い広聴会となりました。
三、本庁の出席者
佐藤昌志県教育長、村岡房之助教育次長の他関係課長等。
佐藤県教育長を囲んで意見発表された皆さん
実り多く、活発な意見があった広聴会