教育福島0105号(1985年(S60)10月)-038page
研究実践
レポート
自らむし歯の予防に努める児童の育成
河沼郡河東町立河東第三小学校
養護教諭二瓶恵美子
−解説−
本論文は、昭和五十九年度公立幼・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文です。むし歯予防の目標、実践内容が明確に位置づけられ、児童自らの問題として予防に取り組ませるための手だてに工夫がみられる優れた研究です。
一 趣旨
むし歯予防の問題は、児童の被患状況や、予防の適時性から考え、学校保健指導における今日的な課題であり、本校もまたその例外ではない。したがって、毎年それなりの対策を講じ、その予防に努めてきたところであるが、町内に歯科医院がないことや、純農村という地域性からくる住民の保健衛生についての関心や意識の低さ、さらには予防対策の甘さなども見られ、期待通りの成果をあげ得なかったように思われる。
そこで、昭和五十七年度当初の職員会議において、本校教育目標の一つである「健康で体力のある明るい子ども」の育成という立場から、全児童の定期健康診断結果をもとに、児童の生活実態や地域の実情と保健指導との関りを再検討した結果、むし歯予防が本校保健指導の最重点課題であるとの結論に達し、昭和五十七年度を第一年次とする三か年計画を立て、学校ぐるみ、家族ぐるみ、さらには地域ぐるみによる意図的、継続的な実践を通して「自らむし歯予防に努める児童の育成]を目指すことにした。
二 児童の実態
(一)定期健康診断による、主たる疾病異常の被患率は、内容的順位的にも全国及び本県と共通しており、う歯が際立った高さを示している。
(二)歯の検査結果による永久歯のう歯のない児童の数は、四十五パーセント台である。
三 実践の概要
(一)本校教育目標とむし歯予防との関連(表1 全体構想)
(二)年度別重点目標の設定
昭和五十七年度…児童や父兄の実態を把握し、家族ぐるみによる歯みがき運動の推進に努める。
昭和五十八年度…むし歯予防に対する一層の意識化、習慣化の深化を図り自らむし歯予防に努める児童の育成に努める。
昭和五十九年度…幼稚園との連携を深めながら、家庭、地域との連携強化に努める。
(三)予防対策の実際
1)組織を中心とした予防対策
・学校保健委員会の設置と活動の促進
・本校歯科医との懇談
・地区担当保健婦との情報交換
2)指導を中心とした予防対策
・学校歯科保健の全体構想の明確化
・指導計画の整備
・治療勧告と治療報告の徹底
・自主検診の勧め
・学期毎の個別歯みがきテスト結果の評価
・個別及び集団保健指導の実施
3)活動を中心とした予防対策
・新入生を対象とした歯に関する調査
・児童の成長過程とむし歯の関連調査
・昼の歯みがきの実施
・歯みがきテストの実施
表1 全体構想
幼稚園児の歯みがき指導