教育福島0105号(1985年(S60)10月)-040page
研究実践レポート
意欲的に問題に取り相み、基礎的・基本的事項を身につけさせる指導
福島市立福島第二小学校
教諭 村上幸男
−解説−
本論文は、昭和五十九年度公立幼・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文です。算数学習において、問題解決の指導を基盤とした指導過程を組織し、教具の開発や学習の仕方に重点をおいた指導により、多くの成果を上げています。
一 主題設定の理由
(一)児童の実態から
前年度は、研究対象を生活経験の浅い一年生としたので、興味をひく提示の仕方を工夫し、やる気を起こさせる指導に努めた。
その結果、児童は、興味のあるものには意欲を持って取り組むようになってきたが、長続きせず、発言も思いつき程度に止まった。また、友達の発言を自己の問題と意識し、お互いに話し合い、思考を練り上げることまでは到達できなかった。
(二)教育目標から
本校の教育目標の一つに「進んで学習する子ども」の育成がある。
そこで、この教育目標の「進んで」を「やる気」と、「最後まで意欲的に取り組むこと」ととらえて学習を展開してきたが、進んで学習するまでにはいたらなかった。これには、いろいろと理由が考えられるが、その中でも「考え方、調べ方、わかり方」などの学習の仕方がよく身についていなかったことが大きな原因と考えられる。
そこで、学習の仕方がわかって、そのやり方を、自ら適用する場をもたせるように努め、「進んで学習する子ども」の育成を図ることをめざした。
(三)福島県小学校教育研究会算数部の
研究テーマとの関連から
今年度は、継続研究二年次に当たる、研究を進める際は、小教研の研究との関連を図りより充実したものとしたい。
二 研究仮説
児童に学習の仕方を身につけさせるため、毎時間のめあてをはっきりと持たせ、解決する喜びを味わわせるような授業を展開すれば、児童は、意欲的に学習に取り組み、基礎的・基本的事項を確かに身につけることができるであろう。
三 研究の視点
(一)問題解決の指導を基盤とした指導過程をもとに、課題をしっかりと把握させ、意欲的に学習に取り組ませるための指導法を研究する。
(二)形成的評価を中心に、基礎的・基本的事項を確かに身につけさせるための評価法を研究する。
四 研究の内容
(一)意欲について、もとになる考えをある程度おさえておく。
(1)文献研究をする。
(2)小教研算数部との関連を図りながら研究をする。
(二)意欲的に問題を解決する手だてについては、次の五つの面から研究をする。
(1)指導過程の工夫
(2)課題提示の工夫
(3)発問の工夫
(4)特別教室の活用
(5)学級のふん囲気づくり
(三)基礎的・基本的事項を身につけさるため、抽出児を中心に形成的評価を行い、下位目標を達成させるよう能力差に応じた指導を行う。また、観察やノートにより情意面の評価をする。
五 研究実践の概要
(一)学習意欲について
学習意欲を「やる気」と、そのやる気を最後まで継続させる「意志力」をおさえて実践した。
(二)意欲的に問題を解決する手だてについて
(1)指導過程の工夫(資料1)
問題解決の指導を中心に、授業の流れをステップごとにノートに書くことによって、次に、何を学習するかが理解できた。課題が提示されると、進んでノートに◆として自分の予想を書く児童が多く、実態調査からも「べんきょうのしかたがわかってきた」が、学級全体の七十二パーセントになった。
(2)課題提示の工夫
児童が楽しみを持って活動に入れるようなゲームを通しての資料作りをした。
(例)単元名「せいりのしかた」
一時目…ボーリング遊びを通しての資料作り。
二時目…一時日の資料からグラフ化する学習。
三時目…グラフより表に表す学習。